ニールソン・パウレスが会心のロングスプリント 5人の争いを制して2度目の優勝【Cycle*2024 宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース:レビュー】
フィニッシュまで残すは1km。スプリントを避けようと先駆けしたのはファンセヴェナント。お見合いする選手たちを尻目にパウレスがすぐに反応すると、最終の300mでついに単独先頭に。そのまま最終のストレートに突入すると、大観衆の待つ宇都宮市森林公園のフィニッシュラインに一番で飛び込んだ。 「スプリントでも勝てる自信はあったんだ。だけど、ファンセヴェナントの加速が素晴らしく、これについていくべきだと直感した。残り300mからのスプリントは早すぎるかとも思ったけど、最後まで踏み込む脚が僕には残っていたんだ」(パウレス)
ジャパンカップの優勝は2年ぶり。そのときは独走で勝ったが、今度は5選手による争いを制してみせた。前評判の高かった選手同士での駆け引きをモノにしただけあって、改めて勝負強さを印象付ける形に。この秋はすこぶる好調で、10月10日のグラン・ピエモンテでは圧巻の42.5km独走劇。2日後のイル・ロンバルディアでも8位にまとめていて、コンディションを維持して来日していた。
「今回もファミリーで日本に来ていて、妻と子どもの前で勝つことができた。最高の勝利だよ」(パウレス) 表彰台には幼いわが子とともに登壇し、一番高いところから会場の景色を見渡した“ミスター・ジャパンカップ”。その表情は誇らしげであるとともに、すっかり父の顔に戻っていた。
最終的に、2位にはファンウィルデル、3位にモホリッチと続き、それぞれ表彰台の一角を確保。日本人選手トップの14位で走り終えた岡本隼(愛三工業レーシングチーム)が2年連続のベストアジアンライダーを獲得。112人が出走し、完走が半数を切る54選手というサバイバルレース。その厳しさは「これこそがジャパンカップ」と実感させられるものだった。
また、ロードレースに先立って19日に行われた宇都宮ジャパンカップクリテリウムは、大会史上初の逃げ切りによる決着となり、最後の1周で連続アタックに打って出たスクインシュが初優勝。リドル・トレックとしては、昨年までエドワルト・トゥーンスが3連覇(新型コロナによる大会中止をはさむ2019・2022・2023年大会優勝)、その前には2018年大会でジョン・デゲンコルプが勝っており、チームとして実質5連覇の偉業達成。 宇都宮市の中心部を走った33.75kmのハイスピードバトルは、やはりUCIワールドチーム勢が中心となって展開し、そのスピードはアベレージ48.75km。大会のテーマ通り、「世界のスピード」が宇都宮で披露されたのだった。
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