「安いわけじゃないし、美味しくないメニューも普通にある」「良さは、子供を連れていけるだけ」…。ファミレスが「オワコン化」する裏で進む“大変化”とは?
デフレが終わり、あらゆるものが高くなっていく東京。企業は訪日客に目を向け、金のない日本人は“静かに排除”されつつある。この狂った街を、我々はどう生き抜けばいいのか? 新著『ニセコ化するニッポン』が話題を集める、“今一番、東京に詳しい”気鋭の都市ジャーナリストによる短期集中連載。 【画像10枚】ファミレス大手の店舗数推移と、その中でもっとも苦戦?する意外なチェーンの“正体” 今年(2024年)、筆者は東洋経済オンラインに「ファミレスが『時代遅れ』になってきてる深い理由 ガストもサイゼも…国内店舗数はジワジワ減少」「“時代遅れ”の『ファミレス』とくに厳しい店の正体 ガスト等の安い店より、中価格帯のほうがキツい?」と題した、2つの記事を寄稿した。
上位4チェーンが揃って国内店舗数を減少させていることを説明しつつ、個々人の嗜好が多様化し、「なんでも安く食べられる」こと自体が大きな魅力を持たなくなった現在、より専門的で個人の好みを満たすことのできる専門店のほうが、業態としては有利なのではないか。そして、中価格帯のファミレスがどんどん厳しくなっていくのではないか……などと論じていた。 読者からも多くのコメントを貰い、また「オワコン化」と言った声に批判の声も届くファミレスの記事だが、筆者は最近、「一億総中流の“崩壊”も、ファミレスの二極化に影響しているだろうな」と考えるようになった。どういうことか?
■『花束みたいな』は経済格差の恋の話? 思えばファミレスは、いつの時代も、さまざまな人が出会う場所だった。 多くのフィクションでファミレスが舞台に選ばれているのは、それを表している。 【画像11枚】ファミレス大手の店舗数推移と、その中でもっとも苦戦? する意外なチェーンの“正体” 例えば、『花束みたいな恋をした』。本作は、坂元裕二が脚本を書いたラブストーリーで、ファミレスが重要な舞台となる。物語は、ファミレスでの告白からはじまり、ファミレスでの別れ話で終わる。