ボニージャックス・鹿島武臣さん「脳幹出血」で逝去 前兆となる症状・原因を医師が解説
「ちいさい秋みつけた」「手のひらを太陽に」などの童謡でも知られるコーラスグループ「ボニージャックス」メンバー、バリトンを担当した鹿島武臣さんが12日に、脳幹出血のため死去したと報じられています。享年90歳でした。 【イラスト解説】「くも膜下出血」の初期症状3選 脳幹出血とは、その名の通り脳の中にある脳幹という器官の血管が破れ出血する病気で、健康な生命生活・生命維持に大きな影響を与えます。そこで脳幹出血の特徴・予防法などを、医師の甲斐沼先生が詳しく解説します。
脳幹出血とはどんな病気?
編集部:脳幹出血はどんな病気ですか? 甲斐沼先生:脳幹出血は、脳出血のひとつです。脳出血は、脳内の血管が破れて出血している状態のことで、その出血部位が脳幹である場合に脳幹出血となります。 脳出血には、脳幹出血のほかに被殻出血・視床出血・小脳出血・皮質下出血があります。脳幹出血の発生率は脳出血全体で10%程です。脳幹は中枢神経系を構成する重要な部位が集まる器官で、自律機能を制御しています。 また、視覚・聴覚・眼球運動・意識・覚醒などの重要な役割を果たしているのが脳幹です。呼吸・血圧維持など生命活動の基本となる働きも脳幹が支えています。 そのため、脳幹出血は脳出血の中でも重篤な症状が表れやすく、数時間で死に至る病気でもあります。また、小さな出血でも大きな後遺症が残りやすいため注意すべき病気のひとつです。 編集部:脳幹出血の兆候はありますか? 甲斐沼先生:脳幹出血は、脳内の出血に伴って症状が突然表れる病気です。 そのため、はっきりとした前兆はなく、何の前触れもなく症状が表れる場合が少なくありません。突然意識を失う場合もあります。 ただし、脳幹出血を含む脳出血は、高血圧が大きく関係しています。血圧が高い方は、脳幹出血のリスクが高いことを念頭に置き、頭痛・めまい・しびれ・視覚の異変などを感じたらすぐに医師に相談しましょう。 編集部:脳幹出血を発症した場合にみられる症状を教えてください。 甲斐沼先生:脳幹出血の症状は、脳幹の出血部位によって異なります。小さな脳幹出血の場合は、頭痛・吐き気・眼球運動障害・顔面麻痺・難聴・嚥下困難・手足の運動麻痺・感覚障害などがみられます。 中でも眼球運動障害は、高頻度でみられる症状です。出血が大きいと呼吸障害・意識障害など、重篤な症状が急激に表れます。 症状が表れてから数時間で死に至る可能性もあるため、意識障害や呼吸困難がみられる場合は、迅速な処置が必要です。 編集部:脳幹出血を発症する原因は何ですか? 甲斐沼先生:発症の主な原因は、高血圧です。高血圧を放置していると、脳内の血管の動脈硬化が進行します。動脈硬化が進み、血管に高い圧力がかかり続けると、血管が破れ出血しやすくなります。 脳の血管が詰まって生じる脳梗塞の最大の原因も高血圧・動脈硬化です。高血圧は、脳血管障害を引き起こす最大の原因となるため、血圧が高い方は脳幹出血を含む脳血管障害のリスクが高くなります。 また、食生活の乱れ・運動不足・ストレス・喫煙・飲酒・糖尿病・高脂血症なども高血圧・動脈硬化につながる要因であり、脳幹出血のリスクを高めます。