子どものいない夫婦〈おふたりさま〉相続の落とし穴。夫の財産を妻が全部相続できない?知っておきたい「相続の基本ルール」
◆優先順位も含め、誰が「相続の権利」をもつのか? Q:法定相続人って、誰のことですか? A:法定相続人とは、法律で定められた相続人のことで、配偶者、子どもや孫(直系卑属)、親(直系尊属)、兄弟姉妹(傍系血族)を指します。 人が亡くなったとき、誰が相続の権利をもつのかは、優先順位も含めて法律で決まっています。これを「法定相続人」といいます。 ちなみに、亡くなった人のことは「被相続人」と呼びます。相続をされる人という意味です。 法定相続人の基本ルール・故人に配偶者がいる場合、配偶者は必ず相続人になります。 1:故人に子どもや孫(直系卑属といいます)がいる場合、配偶者と合わせて相続人となります。配偶者がいなくて直系卑属だけがいる場合は、直系卑属のみが相続人となります。 2:故人に子どもや孫がいない場合、故人の親や祖父母(直系尊属といいます)が相続人となります。配偶者がいる場合は配偶者と直系尊属、配偶者がいない場合は直系尊属のみが相続人となります。 3:故人に直系卑属も直系尊属もいない場合、兄弟姉妹(傍系血族といいます)が相続人となります。1、2と同様、配偶者がいる場合は配偶者と兄弟姉妹、配偶者がいない場合は兄弟姉妹のみが相続人となります。
◆誰にどのくらい?財産の相続について… Q:相続では、財産はどう分けられますか? A:「法定相続分」で割合が定められていますが、相続人の話し合いで自由に決めても構いません。 法定相続人が相続する割合(取り分)も法律で決められています。これを法定相続分といいます。 〈法定相続分の基本ルール〉 1:故人に子ども(と配偶者)がいる場合…配偶者は2分の1、第1順位の子どもが2分の1となります(例:1000万円の遺産があった場合、妻あるいは夫が500万円、子どもが2人なら250万円ずつ相続する)。配偶者がいない場合は、子どもや孫が100%相続します。 2:故人に子どもや孫がなく、親(と配偶者)がいる場合…配偶者は3分の2、第2順位の親や祖父母が3分の1となります(例:1000万円の遺産があった場合、妻あるいは夫が約666万円、親が約334万円を相続する)。配偶者がいない場合は親や祖父母が100%相続します。 3:故人に子どもも親もおらず、兄弟姉妹(と配偶者)がいる場合…配偶者は4分の3、第3順位の兄弟姉妹が4分の1となります(例:1000万円の遺産があった場合、妻あるいは夫が750万円、兄弟姉妹が250万円を相続する)。配偶者がいない場合は、兄弟姉妹が100%相続します。 ただし、実際に相続を行うにあたっては、法律で決められた法定相続分の通りの割合にする必要はありません。 相続人同士の話し合い(遺産分割協議といいます)によって、自分たちで割合を決めることもできます。 とはいえ、相続でもめて調停や裁判などを起こす場合、法定相続分は法的に定められた相続割合として極めて重要な意味をもちます。 仮にそこまでいかなくても、相続人同士の話し合いの際に、各自がもつ相続の権利として強い意味をもつケースが多いようです。
【関連記事】
- 終活のプロが教える、子どものいない夫婦が陥りがちな「相続」の課題。自分も〈おひとりさま〉になることに気付かない〈おふたりさま〉は老後の準備が甘い傾向に…?
- 和田秀樹「お金を使えば使うほど幸福感が高まる」という事実。子どもに残すなんて考えず、自分のためにどんどん使って<脳の若さ>を保とう【2023編集部セレクション】
- プロは見た!これが親族トラブルの火種だ「葬儀は、故人の人間関係の縮図」「〈捨てる〉〈捨てない〉遺品に対する男女の考え方の違い」
- 財産は少ないほど争いは起きやすい?相続争いが起こる家の特徴とその対策は?不公平感は親の死後に露呈する。遺言書の内容は生前に共有を
- 安い築古マンション、建物と住民、2つの「老い」という落とし穴。管理組合が反対派と賛成派とに二分されると、建て替え計画は頓挫する