「私、妊娠したの」嬉しい誤算で、妻が第三子を妊娠。もしかして「托卵」?「普通の夫」が見た地獄
トオルの話によると、彼らは大学卒業後も休みの日には時折一緒に時間を過ごしていたと言う。そのうち、トオルは会社の仲間と参加した合コンで妻の詩織と出会い結婚し、同じころアキラも結婚した。 アウトドアが趣味のトオルとアキラは、それぞれの奥さんを誘って、一緒にキャンプをしたり、河原でバーベキューをしたりして交流を続けた。 そんな関係は、それぞれの夫婦に子どもが生まれても続き、家族ぐるみの付き合いだったと言う。 現在、トオルの子どもは1歳の女の子と3歳の男の子。 妻の詩織は美容師の資格を持っているが、まだ子どもが小さく手がかかることから、しばらくは育児に専念し、もう少し余裕が出てきたら働きだす予定だった。
お互いの家族が揃ってバーベキューをする昼下がりは、子ども達も普段より機嫌よく過ごしていたらしい。
詩織もアキラの家族と会う前後はとても機嫌がよく、集まりを楽しみにしていたと言う。 家族以外の人と会う緊張感からか、いつもよりメイクもしっかりとしておしゃれにも気を遣っているようだった。 トオルは主にバーベキューの火起こしや、肉や野菜の焼き加減に気を配る担当。アキラは子ども達を遊ばせる担当。日頃子育てに疲れ気味の奥さんたちには、ビール片手に寛いでもらうスタイルになっていった。 彼らの性格を知っている裕二には、その光景が目に浮かぶようだった。 色々な事が順調に見えていたある日、トオルは奥さんから告げられた。 「もう一人子どもができた」と。 自分の子どもと信じて疑わなかったトオルは、喜んで妻を今まで以上に大切に扱った。トオルの目からは、詩織も子どもができたことを喜んで、幸せそうに見えたと言う。 ところが、詩織のつわりが治まり、安定期に入ってしばらく経ったある日、彼女は突然家を出て、二度と帰っては来なかった。 「ごめんなさい。お腹の子は、アキラさんの子供です。私はアキラさんと生きていきます」という信じられない書き置きを残して。 前出・平塚氏が言う。 「私の元に相談に来る人の中でも、こういうケースは珍しくありません。お互い家庭があるからこそ、2人の熱が燃え上がってしまうのです。そのほとんどが、破滅的な結末を迎えるのですが…」 次なる展開は後篇にて詳報する。 取材・文/仙道友紀