「虎に翼」が好評の小林涼子に聞く、自分らしいキャリアの耕し方。
―BWAでも従来の価値観に縛られず、自分らしい働き方を創造する女性たちを応援しています。皆さんにメッセージを。
起業するかどうかすごく悩んでいた時、相談した先輩から「やっちゃえ!」ってアドバイスされたんです。なんでそんな気軽に言うんだろう......と最初はすごく腹が立った。でも、「涼子ちゃん、やっちゃう人にしか成功はないんだよ。だからやるしかないよ」と言われて、本気で私の背中を押してくれていることがわかって、そうだよなぁと思って起業しました。 起業して今年で丸3年になりますが、会社をつくって人と一緒に働くのは、大変なことが多いです。自分の選択が果たして正解だったのか、自分でもわからなくなる。先輩方はどうなのか知りたくて、先日、起業家の方へのインタビューで「いままで選んできたことは正解だと思いますか?」って思わず聞いちゃいました。そうしたら「わからない。だけど正解にするしかないし、正解にしていくんだよ」と力強い答えをいただいて、背中を押してもらいました。これもある種の「やっちゃえ!」ですよね。
―確かに一歩前に踏み出すことが不安ですし、勇気が要りますね。
そう。でも現状に不満があったり、何か違うと感じていたらやるしかない。私も怖かったです。この道はどこへ行くのだろう、という楽しみと不安が両方あります。でも、もう選んだ道を正解にするしかないから、歩くしかない。 疲れてしまった20代に、本線の俳優業から脇道にそれて出合った農業体験が、いまキャリアの本線になって戻ってきた。本当に何が自分の人生を変えるかはわからない。人生に無駄なことは何もないし、思わぬ出会いが自分の人生を変えるかもしれない。だから、日々の自分の選択を大切にしたほうがいいし、心に素直に楽しんだほうがいい。 私自身、農業と俳優業を好きな気持ちは起業する前と後で何も変わっていませんが、20代よりいまの自分のほうが好きだから、この選択はいまのところ正解のような気がしています。未来はまだわからないけれど、自分の選んだ道を正解にしていきたいと思っています。
小林涼子(こばやし りょうこ):1989年、東京都生まれ。子役としてキャリアをスタート。映画、テレビドラマへの出演、J-WAVEナビゲーター、メディアへの寄稿など幅広く活動しており、NHKの連続テレビ小説「虎に翼」にも出演中。2014年から家族とともに農業に携わるようになり、21年AGRIKO(アグリコ)を設立。農林水産省の農福連携技術支援者を取得し、現在は世田谷区新町と品川区東五反田で農福連携の循環型農園、アグリコファームを展開している。 www.agriko.net
text: Mitsuko Iwai