メジャーリーグで1年目から活躍したヤクルト・青木宣親。功を奏したのは通訳にお願いしたある事だった
当時の野村徹監督から「お前は徹底的に三遊間にゴロを打ちなさい」と言われたんです。青木は足が速いのだから、三遊間にゴロを転がせばヒットになるだろうということでした。そこから、バッティング練習ではいかなる時も三遊間に打つように徹底しました。 ひたすら練習し、ひたすら量をこなしました。僕は本来凄く不器用で、狙い打ちなんてできるタイプではなかった。今じゃ信じられないかもしれないけど、高校時代は練習も大した時間はしていなかったし、その中でも逆方向に打つ練習なんてしたこともなかったんですよ。 そうして逆方向に打つという感覚を覚えたことによって当てる感覚を掴んで、そこからどこでも当てられるようになったんです。時期としては、3年生の春季リーグからレギュラーで試合に出られるようになったくらいかな。そこから春秋と優勝して結局4連覇。注目され出してプロ入りが叶うわけなので、本当にその感触を手にしたのはドラフトの1年前くらい。ギリギリのタイミングですよね。 もしかすると、その才能は元々自分の中に備わっていたのかもしれない。でも、野村監督からそういう指導を受けなければそれに気づくこともなかった。めちゃくちゃ練習を重ねたからこそ磨かれ、試合に出る機会が与えられたからこそ発揮できたわけです。 ● アメリカでは5番手の外野手 そこでまず考えたこと 実はこの、機会を得られる、ということも結構大事なことだと思うんですよ。ドラフト会議では毎年、育成選手含めて100人前後の選手が入ってきます。例えばダルビッシュやマー君(田中将大)のような選手は別格で、誰もがどうしたって起用しますよね。でもそれ以外の選手が試合に使ってもらうためには、色々な努力が必要です。 野球界だって人間社会なので、同じくらいのレベルであれば当然、好きな選手を使いますよね。だから、監督やコーチ、スタッフに好かれることだって、大切なことだと思うんです。単に媚を売る、という意味ではないですよ。まず日常生活から襟を正して人として信頼してもらうこと、生活態度や人間関係だって気をつける必要はある、と僕は思う。それが“社会の縮図”というものでしょう。