なぜ横浜DeNAは阪神に逆転サヨナラ劇で3連勝し4位浮上できたのか…三浦”番長流”「肉を切らせて骨を断つ」勝利リスクマネジメント
横浜DeNAが6月30日、本拠地で行われた阪神戦で6-5の逆転サヨナラ勝利を収めて同一カード3連勝。阪神を追い抜き4位に浮上、3位広島にも1.5差と迫りAクラスが見えてきた。初回に4点を先制した横浜DeNAだが追加点を奪えず、その後、ミスから失点を重ね、“天敵”の佐藤輝明(23)に同点14号ソロを浴びるなどしたが、最小失点に食い止めたことで逆転の舞台を整え、4-5で迎えた9回、2番に抜擢した大田泰示(32)が同点のタイムリー二塁打。そして二死一、二塁から嶺井博希(31)の一、二塁間を破るヒットで二塁走者の大田がタッチをかいくぐる“神スライディング“を見せて逆転サヨナラ勝利を手にした。三浦大輔監督(48)は「誰もあきらめていなかった。執念」と選手を称えた。
同点二塁打の大田泰示が”神スライディング”
サヨナラ気分を2度味わった。 土壇場で同点に追いつき、なお9回二死一、二塁のチャンス。途中出場の嶺井は、虎のクローザーの岩崎にカウント1-2と追い込まれたが「必死で。絶対(大田が)還ってくると信じて」とおそらく見送ればボールのチェンジアップに体ごと食らいついた。 打球はセカンドの右へ。途中出場の植田がセカンドベース寄りのポジションを取っていたことを見透かしていたのか。植田は、後一歩、追いつけず打球はライト前へ。二塁走者の大田は迷わずホームへ突っ込んだ。佐藤の好返球とのクロスプレー。大田は「(タッチを)避けるしかない。長い腕を伸ばして頑張ってタッチしました」と、梅野のタッチをかいくぐるようにして回り込んで、その左手を伸ばしてベースに触れた。 球審はセーフのジャッジ。全選手が一塁ベンチを飛び出し、歓喜のミネラルウォーターシャワーまで撒き散らしたが、矢野監督がリクエストを要求した。 「セーフと信じて待っていた」と三浦監督。 タイミングはアウトだったが、ビジョンの映像は、梅野のミットが空タッチに終わっている瞬間を明確に示していた。もう一度、セーフのジャッジがなされ、今度こそ正真正銘のサヨナラ勝利の儀式。ルーキーイヤー以来、8年ぶりのサヨナラ打をマークした嶺井以上に、全身ビショ濡れになっていたのが大田だった。 日ハムをノンテンダーという事実上の戦力外となり、横浜DeNAに移籍して1年目のヒーローがインタビューで叫ぶ。 「横浜、最高!」 “番長采配“がスバリ的中した。 「状態が上がってきた」との理由で桑原を5月22日以来となる1番に起用。大田を「間があきすぎるのも良くない」と10試合ぶりに2番で起用した。実は、この1、2番コンビは初のパターン。そして三浦監督の采配は最初から最後までぶれなかった。 初回に桑原がレフト前ヒットで出塁すると、大田に「打て」のサイン。大田もセンター前ヒットで続き、無死一、二塁の先制機を作った。ここから、佐野、宮崎、森の怒涛のタイムリーラッシュで4点のビッグイニングを作った。 そして1点ビハインドの9回も先頭の桑原がレフト前ヒットで出塁すると、三浦監督は大田に再び「打て」のサイン。 「バントは考えなかった。彼を使う以上、つないでつないで。任せました」 大田も、そのベンチの思いを意気に感じた。 「打てのサインが出ている以上いくしかない。勇気を振り絞った。ゲッツーを打ったらどうしようとも思ったけれど、思い切っていった」 いつものようにファーストストライクをフルスイング。阪神の岩崎の高めに浮いたチェンジアップを見逃さなかった。打球はレフトフェンスを直撃。島田は追いついていたが、フェンスにぶつかり処理できなかった。桑原が同点のホームを駆け抜けていた。 岩崎は、ここ数試合、ストレートに独特の伸びが戻っておらず、ストライク、ボールもハッキリとしていて、とてもクローザーとして耐えきれる状態にはなかったが、その不調をベイ打線は逃さなかった。