糸井が中村奨が…どっちもどっちの走塁ミス“応酬”で延長12回ドロー…阪神は2分9敗でまた広島に勝てず
阪神が“天敵“広島にまた勝てなかった。阪神は2-3で迎えた9回二死二塁で広島の”守護神“栗林良吏(25)から近本光司(27)が同点タイムリーを放ちゲームを振り出しに戻したが、延長12回の末3-3の引き分けに終わった。互いにミスを重ねて流れをつかめない展開のゲームだったが、これで阪神は対広島に今季2分け9敗。まだ1勝もできていない。
9回二死から近本が執念の同点タイムリー
時刻は午後11時になろうとしていた。 3-3で迎えた延長12回二死満塁。マウンドには10日間のリフレッシュ期間を取って戻ってきたポーカーフェイスの“守護神”岩崎。そして打席には、延長10回に“幻のサヨナラ二塁打”を放っていた菊池である。 カウント2-2から捕手の坂本はインサイドに構えたが、140キロを表示した岩崎のストレートは、やや甘く入った。快音を残した打球はレフトへ。だが、満塁となって前進守備を解除していたことが幸いした。背走した島田が小さくジャンプしてフェンス直前で好捕。岩崎はニコリともしなかった。 執念のドロー。だが、今季11戦目にしてまた広島に勝てなかった。 スポーツ各紙の報道によると、矢野監督は、「負けて帰るのと引き分けでは全然違う。引き分けで良かったと思えるような試合に明日からしていかねばならない」とコメントしたようだが、一昨年まで7年間、阪神のユニホームを着ていた評論家の高代延博氏は、その前段の言葉に反論した。 「内容からすれば負けに等しい引き分けだと思う。なぜなら広島に勝てないという相性の悪さの呪縛から解放されなかったからだ。そしてもっと言えば今の阪神は、どのチームを相手にしても、今日のように先制して、途中で何度も得点圏に走者を進め勝てる展開だったゲームは絶対に落としてはならない立場にある。守護神の岩崎にしてもストレートがまだ戻っていない。この先、ブルペンのやりくりに苦労しそうだ」 土壇場で追いついた。9回二死二塁で、この日、先制タイムリーを含む2安打でついに打率3割に乗せていた3番の近本が栗林のフォークを見事なバットコントロールで捉えた。一、二塁間を破る同点タイムリー。広島の勝ちパターンを崩した。 だが、ここから勝負を決めきれないところに虎の弱さがある。さらに二死一、二塁の勝ち越し機に大山のライト頭上を襲った大飛球を、広島のルーキー、中村健が後ろ向きでキャッチ。スーパープレーに4点目を阻まれた。 延長12回には一死から大山が広島7番手の藤井から左翼線二塁打を打って出塁したが、糸原が二ゴロ、高山が粘ったが三振に倒れて勝ち越すことができなかった。二死三塁のその高山の打席では、藤井のフォークがワンバウンドになったが、途中出場の會澤が素晴らしいミットさばきで後ろに逸らさなかった。 両チームは共にミスを重ねた。 広島は1回に先頭の島田のファーストゴロをマクブルームが弾き、それが失点につながり、プロ初のスタメンマスク抜擢を受けた持丸は“タイムリーパスボール“で2点目を献上していた。最後まで流れをつかむことのできなかった理由だ。 究極のミスは延長10回の代走・中村が三塁を回ったところで足がもつれて転倒してサヨナラを逃したシーン。二死一塁から、9回に記録は内野安打となったが、ボールが手につかず梅野を出塁させるミスを犯していた菊池がレフト線を破る強烈な打球を放った。ギャンブルプレーだったが、マツダスタジアムのレフトのクッションボールの処理が難しいこともあって広島の河田三塁コーチは、本塁突入を指示した。だが、三塁を回ったところで中村の足がもつれて転倒。すぐに起き上がってホームを狙ったが、バックホームは、先に坂本のミットに届いていた。