パフォーマンスの乱高下に内部分裂……ランキング6位転落のアルピーヌF1、暫定代表が語るチームに不足していた“大胆さ”とは?
「メルセデス製PUなら速く走れるのに」シャシー部門とPU部門、チーム内の確執
ロータスがメルセデス製PUに乗り換えた2015年を除けば、シャシー部門のエンストンとPU部門のヴィリーの2拠点は1995年から協力関係にある。 長年にわたり、ふたつのファクトリー間でのコミュニケーションを改善し、お互いがお互いを非難する文化の兆候を取り除くための施策が続けられてきた。そして、それは現在も続いている。 「私がヴィリーに着任した1年半ほど前、全員ではないが何人かが『今はカスタマーチームがひとつしかない』と言っていたのを覚えている」 ファミン暫定代表はそう語る。 「私は『なんて言った? カスタマーチームじゃなくて我々のチームだ。我々のワークスチームだよ』という感じだった」 「エンストンについた時には『メルセデス製PUなら速く走れる』という話を耳にしたこともあった。確かにメルセデス製PUなら15kW多く出力が出るが、メルセデス製PUになれば(F1)プロジェクトもエンストンもなくなってしまう……」 ファミン暫定代表は、そのような“彼ら”と“我々”という考え方に終止符を打つべく、迅速に取り組んだとして、次のように続けた。 「特にエンストンとルノー・グループの間には、かなり複雑な歴史がある。それが現実なのだ」 「何度身売りされて、何度買い戻されたか分からないよ!」 「それが状況をややこしくしているのは確かだ。でもPUファクトリーとシャシーファクトリーの関係は、アルピーヌのプロジェクトに限ったことではなく、どこにでもあることなのだ」 「我々はひとつのチームであり、ひとつのプロジェクトであり、ひとつの目標を持っている」 そしてファミン暫定代表は、PUはもはや“足かせ”ではないと断言する。 「もうそんな話は聞かないよ」 「それはハッキリしている。デ・メオのスピーチの後、かなり多くの人と話したが、もう誰もそのことには触れないだろう。そしてマシンを改善するために何をしなければならないか、誰もが理解しているのだ」 「課題はひとつではない。空力に限った話でも、PUに限った話でも、タイヤに限った話でもない。とても競争が激しいから、どの領域でも上手くやる必要がある」 「そのことは誰もが分かっているし、誰もがそこに集中している。それに満足できないなら、ここを出ていくことになる」
Adam Cooper