パフォーマンスの乱高下に内部分裂……ランキング6位転落のアルピーヌF1、暫定代表が語るチームに不足していた“大胆さ”とは?
以前のアルピーヌは”アイデアを出しにくい”環境だった?
ファミン暫定代表の“大胆さに欠ける”という指摘は興味深い。そして、人事異動に関して、以前はこのチームのスタッフがアイデアを出すのを嫌っていた、あるいは恐れていたという指摘を受けるのは初めてのことではない。 これについて、ファミン暫定代表は次のように語った。 「全部に少し手を付けているようで、誰も大胆ではなかった。私は心理学者ではないから、その理由について詳しく語るつもりはない」 「しかし今確実なのは、このような競争の世界でパフォーマンスを発揮するためには、全員のポテンシャルを引き出す必要があるということだ」 「マシンの性能を引き出すこと、マシンやPUの開発に長けている必要がある。そして、たとえ最高のPUがなくとも、最高のマシンがなくとも、最終的に良いマシンを作って良い結果を残すために全体を調整することはできると思う」 「もちろん、将来的な話ではなく、今は枠組みを整える必要があるということだ。ウィリーとエンストンの関係を改善する余地という問題はあるが、私にとってそれはプロジェクトの本の一部であり、我々がやらなくてはならない仕事のほんの一部だ」 それが今、ファミン暫定代表にとっての重要な課題となっている。 サマーブレイクの人事異動から立て続けにグランプリが開催され、当初はレースチームに集中していたが、オフシーズンの間はエンストンとヴィリーに割く時間も増える。 「我々には才能のあるスタッフが沢山いる。マシンの開発だけでなく、仕事のやり方においても彼らが新しいアイデアを持ち込めるように手助けする必要がある」とファミン暫定代表は言う。 「そしてチーム全体のポテンシャルを引き出し、マシンのポテンシャルを引き出し、より良い結果を得ることが理想だ」
大きな問題は、アルピーヌが状況を好転させるのにどれだけ時間がかかるか
集団の考え方を変えると、そう口で言うのは簡単だが、本当に上手くいくのだろうか? 上手くいく証拠として、ファミン暫定代表は、イタリアGPでの週末が芳しくなかったことを受けて同じような高速サーキットでの開催となるラスベガスGPに向けて空力を改良した事例を挙げた。 「ラスベガスでの結果は、私が非常に満足している良い例だと思う」とファミン暫定代表は言う。 「4位という結果に対してではない。もちろん、予選5番手と決勝4位は嬉しいが、モンツァでの結果が本当に悪かったからこそ、満足しているのだ」 「ラスベガスはいくつかの点で似ていたから、(モンツァで)なぜそうなったのか、何が起こったのか、どこで間違っていたのかを分析し、すぐに新しいことを提案するために時間をかけた」 「もし我々が何もしていなかったら、ベガスではリスクがあった。すぐにチームが対応し、空力の進化を提案した。それを開発・製造し、マシンに投入した。ギリギリになったが実現できたし、上手くいった。以前なら、モンツァで17位なら(ラスベガスでも)17位だった」 「でも今は、とても強力な対応ができ、それが実を結んだ。最終的なポジションやリザルトは、とても良い状態だった。すでに変わったことの一例だ」 大きな問題は、アルピーヌが状況を好転させるのにどれだけ時間がかかるかということだ。 アルピーヌは以前、5年もしくは100レースでF1のトップグループに返り咲くという計画を立てていたが、サフナウアー元代表は野望を叶えるどころか、わずか1年半で解雇となった。 ファミン暫定代表は、グランプリで成功を収める上で明確な数字を設けていないと語った。 「どれくらいかかるか見当もつかないし、目標を決めたくない」と彼は言う。 「この冬と来年の目標は、その姿勢と考え方を発展させ、文化を変えることだ。今回もヴィリー対エンストンという構図ではなく、全体に対してだ」 「より良いチーム、より良い組織、より良いマシンを開発するために、この勢いを継続し、発展させるのだ」 「そうすれば結果はついてくる。どれくらい時間がかかるか、私には分からないよ」