日銀会合前のコミュニケーションでトレーダー混乱-利上げ時期巡り
中央銀行には自らの行動をトレーダーに対して前もって明らかにする義務はないが、サプライズが多ければ多いほど異常な市場変動が起こる可能性は高まる。
日銀は来年1月の会合直前に氷見野良三副総裁が懇談会で講演する予定も発表した。一部の投資家は日銀が12月でなく1月に利上げするヒントと受け止め、円は対ドルでさらに下落した。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎債券ストラテジストは「日銀副総裁の日程を深読みして、利上げがないと決め打ちするのは危険だ」と指摘。「日銀が1月に利上げできると思っているのであれば、12月にできないはずはない」と話す。
中村審議委員は5日の発言で、12月についてはまだ決定しておらず、今週発表される企業短期経済観測調査(短観)を注視していると述べた。投資家は日本時間11日夜に発表される米国の消費者物価指数や連邦準備制度の金融政策見通しにも注目している。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストはリポートで、12月会合直前まで複雑なコミュニケーションが続く可能性があると予想。「今回についても日銀がまだ判断を決めかねているのだとすれば、ここから再び12月利上げ説が支配的になる可能性も残されている」と指摘した。
--取材協力:船曳三郎、日高正裕.
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Mia Glass, Sumio Ito