〈フロス〉の新ショールームでマイケル・アナスタシアデスが語る《IC ライツ》10年の軌跡。
ギリシャのキプロス島出身の彼にとって、フロスとの協業は夢のようなできごとだという。 「小さな島で育った私は、イタリアデザインを扱う一軒の店で、よくフロスのデザインも見ていました。インターネットもない時代で文化的なものへの憧れが強く、当時はなぜ惹かれるのかわからなかったけれど、今思えば私のデザイン、日用品の中にある美や詩的なものへの関心はここから生まれたのかもしれません」 その後自身で照明ブランドを立ち上げた彼だが、〈フロス〉のもつ知識や技術によってこれまでできなかったことが可能になったという。 「強力な開発チームに支えられて、すべてのプロセスでディテールまで徹底的にこだわることができる。暖かく迎えてくれる世界中のチームは、家族のような存在です。そういう企業は多くはないし、こうした環境がいいデザインを生む基礎になっていると感じます」 《ストリング ライト》《アレンジメンツ》《コーディネーツ》など、彼の作品は使い方が自由なものが多く、ユーザーをクリエイティブにする。 「使い方は個々のユーザーに委ねたいと常々思っています。一般的にデザイナーはイメージを大切にしたがるけれど、デザインは違う。デザインとは、ものを作り世に出すこと。送り出したものが世の中でどう使われても、デザイナーはそれを受け入れなければならない。誰にでも選ぶ自由があるし、使い方はコントロールすべきではないしね。最近はSNSを通じて多くの人が私の作品の写真を送ってくれたり、タグしてくれる。そんな時はすぐシェアするようにしているんですよ。コレクターが美しくセットした完璧な世界にあるものだけではなくて、どんな風に解釈されたものでもね。詰まるところプロダクトデザインはプロダクトデザイン、ファッションはファッションなんです」
ショールームでは、家具見本市のためのシンプルな家具や什器など、照明以外のマイケルのデザインに触れることもできる。