〈フロス〉の新ショールームでマイケル・アナスタシアデスが語る《IC ライツ》10年の軌跡。
渋谷に移転オープンした〈フロス〉の新しいショールームを、照明のトップデザイナー、マイケル・アナスタシアデスが訪ねました。彼が初めて〈フロス〉から発表した《IC ライツ》の10周年のアニバーサリーを記念し、スペシャルエディションもお披露目に。この10年間、世界中で広く愛され新たなアイコンとなった名作について話を聞きました。 【フォトギャラリーを見る】 60年以上にわたり、照明デザインの名作を生み出し続けるイタリアの照明メーカー、〈フロス〉が渋谷に新ショールームをオープンした。〈都民の城〉(旧こどもの城)にほど近い場所にサイズの異なる窓がランダムに並ぶ建物は、青木淳による設計だ。 天井高5mという広々とした空間は緩やかに仕切られ、イタリアの建築家・アッキーレ・カスティリオーニをはじめとする巨匠から、現代のトップを走るデザイナーまで、異なるデザイナーの作品がそれぞれ個性的な光を放っている。 その中でもポエティックで彫刻的なマイケル・アナスタシアデスによるコレクションは、ひときわ目を引く存在だ。
「ひとつひとつの照明が際立っていて、それぞれの魅力が伝わってきますね」とショールームを訪れたアナスタシアデス。 2014年に発表されると同時に、人気に火が付いた《IC ライツ》は今年で10周年を迎えた。彼がコンタクトジャグリングにインスパイアされて生まれたというデザインは、今ではブランドを象徴する名作のひとつだ。 「正直ここまで皆に愛されると思っていなかったので、うれしいサプライズでしたね。デザイン好きのみならず、あらゆる階層の人々に届いている民主的なデザイン。多くの粗悪なコピー品も出回っていますが(笑)、照明以外にも真鍮と球体の組み合わせ自体もよく見かけるようになりました。《IC ライツ》はプロダクトを超えて、オリジナルだけどアノニマスな存在で、多くの人が話す“言語”を作ったとも言えるでしょう。そんな言語を生み出せたということはとても誇らしい」 10周年を記念した24金仕上げの《IC 10 Anninversary》も発表された。「ジュエリーやアートピースのように、長年にわたり愛されるコレクションを讃え、永遠の象徴としてゴールドを選びました」アナスタシアデスは言う。