戦力外からの劇的再起星…なぜ横浜DeNA宮國は古巣巨人の“師匠”菅野に投げ勝ち4年ぶり勝利をあげることができたのか?
巨人での10年目のシーズンとなる昨年は右肩痛にも苦しみ21試合に登板、0勝0敗の防御率5.33の成績。8月9日の中日戦で1試合だけ先発チャンスをもらったが、2失点し、わずか2回で降板、オフに戦力外を宣告された。12球団合同トライアウトに参加したがオファーはゼロ。それでも宮國はあきらめず巨人時代に世話になった西武の内海哲也の誘いで、自主トレを行い、キャンプも内海の専属トレーナーの協力を得ての自主キャンプ。横浜DeNAからテストの話があり育成契約をしたのは3月だった。 「最初はキャンプもできていなかったので時間がかかったが、6、7月に入ってからは、いい感じで思っているような(ボールの)スピードも上がってきた」 8月に入ってファームで2試合先発で続けて結果を出した。特に8月28日のイースタンの巨人戦で、立岡、石川、香月らが並ぶ打線を6回無失点に抑えた登板が決め手となって支配下登録期限ギリギリで復帰舞台に滑り込んできた。 「投げられる喜びだったり、マウンドに立てる喜びというものをかみしめながら、1球1球投げた」 1球入魂の76球。人生をかけてつかんだモチベーションほど強い力はない。 人情家の三浦監督も、その苦労を知っているだけに感激していた。 「1月に現役続行を決めて一人で自主トレ、キャンプをしてチャンスを待っていた。育成で(横浜DeNAに)入ってからも黙々とトレーニングをしていた。結果を残してチャンスをつかんだ。そこで一発回答で。勝ちがついたのは本当に良かった」 お立ち台では「初めまして宮國と申します」と挨拶して、ファンの笑いと歓迎を受けた。宮國にとって、ここがゴールではない。新生宮國の始まりである。 「今日みたいな粘り強いピッチングができるように、1試合でも多くチームの勝利に貢献できるように頑張りたいと思う」 チームには、もし宮國が1軍で通用しなければ、先発転向した左腕の石田にチャンスを与えるプランもあった。だが、試合後、三浦監督は、「(次も)先発として準備してもらう。次(の先発チャンス)も、しっかりとあると思う」と断言。宮國をローテーションに加えることを約束した。まだ制球をひとつ間違えばの怖さは残るが、最下位脱出を狙う横浜DeNAには、こういうドラマが必要だろう。 試合後には、10年目を迎える「STAR NIGHT X TIME TRAVEL(スターナイト・テン・タイム・トラベル)」と題したスペシャルショーが開催された。プロジェクションマッピングとドローンを駆使した幻想的な音と光のショー。地域との申し合わせで試合終了が午後9時を過ぎると中止になる予定だったが、宮國の移籍後初勝利を祝福するかのように試合は、その1分前にゲームセットした。