口腔外科で扱う疾患は?【口腔外科を知る】
◇気軽に受診を
口腔外科というと大学病院など大きな病院を想像され、紹介状がないと受診できないと思われている方もいるでしょう。ただ、最近は口腔外科をメインとする個人開業医も増えてきましたので、気軽に受診を検討いただくとよろしいかと思います。 その際の受診の目安をお伝えします。病院やクリニックで標榜可能な(看板に書ける)診療科は、国の定めた医療広告ガイドラインで規制されています。 歯科で標榜可能な科目は歯科、歯科口腔外科、小児歯科、矯正歯科です。標榜は自由ですので、各学会の専門医の資格を取得していなくても看板を掲げることは自体は可能です。 口腔外科の診療を希望して受診される場合、最も分かりやすいのは「○○歯科口腔外科クリニック」などでしょう。口腔外科を前面に出していれば、専門としている所が多いです。ホームページで診療内容をチェックするか、直接電話して事前に症状や痛みの程度を詳しく伝えてから受診されることをお勧めします。 初めての受診時には、事前に自分の症状や病歴を整理しておくとよいでしょう。診察がスムーズに進み、医師とのコミュニケーションが円滑になります。服用中の薬やアレルギーについても正確に伝えることが大切です。 口腔外科では治療後のフォローアップも重要です。手術後の経過観察や必要に応じた追加の治療を行い、患者の回復をしっかりサポートするため、歯科医師はこまやかな配慮も怠ってはいけません。患者側でも、痛みや腫れが続く場合は、すぐに医師に相談してください。
◇担当は歯科医師
ここで、口腔外科診療のライセンスについてお話しします。もちろん、歯科医師の国家資格があれば、口腔外科診療は可能です。一般開業医で日常的に行われている抜歯手術などは口腔外科処置になります。 大学病院であれば、歯学部付属の大学病院と医学部付属の大学病院(すべてではない)に口腔外科があります。歯学部付属病院の口腔外科は歯科医師、医学部付属病院の口腔外科は医師というわけではありません。どちらもほとんどが歯科医師です。中には医師・歯科医師のダブルライセンスを持つ先生もいますが少数です。ですので、口腔外科を担当するのはほとんどが歯科医師となります。 口腔外科では、口腔がんの治療・手術も歯科医師が扱っています。何か困ったことがあれば、ぜひ信頼できる歯科医師にご相談ください。口の健康を守るために適切なケアを受けることが大切です。(了)
角田智之(つのだ・ともゆき) 歯科医師・歯科医師臨床研修指導医・日本選択理論心理学会認定選択理論心理士。明海大学卒業後、日本大学医学部歯科口腔外科学教室、久留米大学医学部口腔外科学教室などを経て、2008年に福岡市で「つのだ歯科口腔クリニック」(現在は「つのだデンタルケアクリニック」)を開設した。