癒し系”超天然”女子ゴルファーの小祝さくらが圧勝ツアー2勝目にガッツポーズをしなかったワケ
2018年7月、猛暑の滋賀で行われた「センチュリー21レディス」では暑さについて質問されると、「ここは人間の住むところじゃない。過酷すぎます」と返答した。 その年の11月に出場した「TOTOジャパンクラシック」で再び滋賀を訪れたときには「朝が寒くて、昼間は暑い。寒暖差がすごくて過酷。やっぱり人間の住むところじゃない」と、笑いながらばっさり切り捨てた。他の選手がこんな“暴言“を吐けば社会問題になることは必至。政治家なら大問題に発展するだろう。しかし、発言の主が、”超天然”の小祝だから笑って許される。現場がザワつくこともない。とにかくホンワカしている。喜怒哀楽は、ほとんど顔に出さない癒し系なのである。 だが、ゴルフそのものはアグレッシブだ。性格の柔和さとは裏腹に攻めの姿勢を貫く。そのギャップが実にいい。「ゴルフ5レディス」の前週に地元北海道で開かれた所属先のニトリが主催する「ニトリレディス」は”女タイガー”の異名も浸透してきた19歳のルーキー、笹生優花との優勝争いに敗れて2位。「あの試合は本当に悔しかった。リベンジできてよかった」と、闘志をむき出しにしたゴルフで溜飲をさげたが、言葉に迫力はないのである。 そのなんともいえぬホンワカした癒し具合がファンを引きつける魅力の一つになっている。だから、ガッツポーズもやらないし、似合わないのだ。 ただ、この美白が自慢の道産子は、鉄人ぶりを発揮している。同い年の勝みなみ、新垣比菜らとともに2017年のプロテストに合格し、翌年のシーズンからツアーにフル参戦した。18年は38試合、19年は39試合にすべて出場し、今季の4試合を加えれば81試合連続出場を継続中。もちろん、現在の最長記録で、歴代でも単独9位となった。 「休む理由が特にないから試合に出ている。試合を休んで練習する方が過酷だし、これからも休むことはないと思います」 出場資格のあった8月の「AIG全英女子オープン」を回避し、日本に残ることを選択した。所属先であるニトリのホスト大会への出場があったためだが、「全英」に出ていれば帰国後の自主隔離期間中で、この試合に出ることもできなかった。人間万事塞翁が馬である。