スポーツ界にもロシアのウクライナ侵攻が深刻影響…母国キエフ近郊に妻子を残したまま悲痛な思いでリングに立つボクシング元世界王者も
ロシアのウクライナへの大規模な軍事侵攻はスポーツ界にも大きな打撃と影響を与えた。日本勢で、さっそく影響を受けたのは、25日からロシアのサニーバレーで始まったフリースタイルスキーのスキークロスのW杯。北京冬季五輪にも出場した須貝龍、古野慧ら4人が参加予定だったが、彼らを含む各国の50選手が棄権した。また国際スキー連盟(FIS)は、3月18日からロシアのニジニータギルで開催予定だったジャンプ女子のW杯などの中止も決定した。 サッカー界では、最大のイベントであるUEFA欧州チャンピオンズリーグの決勝が5月28日にロシアのサンクトペテルブルクで行われる予定だったが、開催を断念。フランスのパリ郊外のサンドニでの開催に変更することを緊急決定した。 またモータースポーツ界では9月に開催予定だったF1のロシアGP大会の中止を決定。「F1は人々を団結させ、人々を結びつけるというビジョンを持って世界中を転戦する。私たちはウクライナで起きていることに深い悲しみとショックを受けており、迅速かつ平和的な解決を望んでいる」との声明を発表し、代替場所を探しているという。 ボクシング界では、ウクライナで活動を続けるボクサーに深刻な影響を与えた。スポーツイラストレイテッドによると、元世界3階級制覇でライト級の元3団体統一王者のワシル・ロマチェンコ(34)は、地元の修道院に避難を求め、ギリシャに退避したという。 ロマチェンコは自身のインスタグラムにロシアとウクライナの旗の色で描かれた両手で平和の象徴である鳩の形を作り、バックに鳩のシルエットがあるイラストを掲載。「全世界の平和と地球の人々の啓蒙のための祈り」との言葉を添えた。 ロンドン五輪金メダリストで、現WBA、WBO、IBFの3団体ヘビー級王者であるオレクサンドル・ウシク(35)は、現地時間26日に英国グラスゴーで行われるスーパーライト級の4団体統一王者のジョシュ・テイラー(英国)とジャック・カテラル(英国)の世界戦を解説する予定で現地に滞在していたが、ロシアの母国への進攻を知ると逆にウクライナへと戻った。彼はインスタにウクライナでの映像をアップ。 「何人か(の評論家)は、私が(英国へ)逃げ出したと言ったが、私は仕事をしていただけだ。私は戻ってきて家にいる。困っている友人たちと共に団結しなければならない。私は本当に私の国と人々を心配している」とのメッセージを「NO WAR」というキャプションを付けて伝えた。ウシクは、前王者、アンソニー・ジョシュア(英国)との再戦が計画されているが、今回の軍事侵攻の影響を受けて難しくなったとの見方もある。