1分で終わる簡単検査で「命を救える」!? 呼吸器検査で発見できる「重大な病気」の正体とは
呼吸器検査で見るべき項目
また身長と年齢から「予測肺活量」という項目を計算します。かなり面倒な式なので、ここでは省略しますが、ざっくり言うと、予測肺活量は男女とも身長が高いほど増え、年齢が上がるほど減少します。計算機のカシオが運営している「Keisan」というホームページで簡単に計算できるので、興味があるひとはアクセスしてみてください。 呼吸器検査でとくに重要なのは1秒率と「%肺活量(パーセント肺活量)」の2つです。%肺活量とは、実際の肺活量を予測肺活量で割った値のことです。 基準値(正常値)は次のようになっています。 1秒率:70パーセント以上 %肺活量:80パーセント以上 %肺活量が基準値を下回ると、間質性肺炎が疑われます。肺は「肺胞」と呼ばれる微小な袋状の構造が多数集まってできています。間質性肺炎では、その肺胞の壁が厚く、かつ硬くなるため、肺全体が膨らみにくくなります。その分、実際の肺活量が減るわけです。病気の初期には、自覚症状がほとんどないのですが、この検査がきっかけで見つかることがよくあります。 1秒率が基準値より低い場合は、気管が細くなって、空気が流れにくくなっている可能性があります。病気としては、気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)になり始めている可能性があります。 間質性肺炎は急に悪化(急性憎悪)して、命に関わることがあります。またCOPDを放っておくと、高齢になって酸素ボンベを引っ張りながら暮らすリスクが高まります。いずれも肺のCTを撮らないと診断がつきにくいので、異常を指摘されたら、まず呼吸器内科を受診するといいでしょう。
永田 宏(長浜バイオ大学バイオデータサイエンス学科教授)