千原ジュニア「骨が死ぬ難病」で絶望。壊死した骨を公開
千原ジュニア「骨が死ぬ難病」で絶望。壊死した骨を公開
特発性大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭の一部が血流の低下により「壊死(えし)」に陥る状態であり、厚生労働省の指定難病になっています。「壊死」「難病」というワードの並びだけで怖さがあるのではないでしょうか。明らかな原因はいまだに不明であるものの、その存在について知っておくことが早期の治療に繋がる上で重要です。そこで今回は特発性大腿骨頭壊死症についてご自身の治療経験も踏まえて、千原ジュニアさんと整形外科専門医である北城雅照先生に対談していただきます。 【動画】千原ジュニアが壊死する難病「特発性大腿骨頭壊死症」の過去を語る
千原ジュニアが苦闘した「特発性大腿骨頭壊死症」の意外な原因と「人工関節」の進化
北城先生: 最初に病気に気づいたきっかけを教えてください。 千原さん: 最初のきっかけは痛みです。2021年に寒い中を長時間走るロケがあって、その2日後ぐらいから痛みが発症しました。 北城先生: その後の経過はいかがでしたか? 千原さん: 1ヵ月経っても痛みが減らなかったので、かかりつけのクリニックでレントゲンを撮って、超音波の治療もしてもらいました。 北城先生: 結果はどうでしたか? 千原さん: レントゲンでは特に異常はなかったのですが、超音波の治療では良くならなかったですね。その頃から足を引きずるようになって、現場でも心配されるようになりました。マッサージの先生も紹介してもらったのですが、それでも良くならないので、痛みが出て半年経ってから病院でMRI検査をしていただきました。 北城先生: 検査の結果はいかがでしたか? 千原さん: 特発性大腿骨頭壊死症という難病で、骨が壊死していると言われました。特発性大腿骨頭壊死症とはどのような疾患なのでしょうか? 北城先生: 大腿骨頭の一部が、血流の低下により壊死していく難病です。好発年齢は30~50歳で、男女比では男性に多いと言われています。 千原さん: なるほど。レントゲンを撮った時は壊死が分からなくても、痛みが出た時点で発症しているのでしょうか? 北城先生: その通りです。初期の特発性大腿骨頭壊死症は所見が乏しくレントゲンだけでは分からないことが多いですね。 千原さん: 僕も同じパターンですね。進行速度は人によると思うのですが、骨の壊死がレントゲンで確認できるのは発症からどれくらいの時間が経過した頃なのでしょうか? 北城先生: 3ヵ月以降から徐々に所見が出てくると思います。 千原さん: 痛みを我慢して放置した場合はどうなりますか? 北城先生: 骨頭が潰れていくので痛みがひどくなり、関節の動きが悪くなっていきます。いずれ歩けなくなり受診した時には既に骨頭が潰れてしまっているというケースが多いですね。 千原さん: 骨頭の潰れ方で手術や術後の経過に差はありますか? 北城先生: 人工関節を入れる場合は潰れた骨頭を含む股関節全体を入れ替えるので、ほとんどないと思います。 千原さん: この病気の原因はいったい何なのでしょうか? 北城先生: 大腿骨頭へ向かう血流が悪くなることで骨頭が壊死してしまい一部が潰れてしまうのですが、なぜ血流が悪くなるのかの原因は不明です。アルコールやステロイドの使用が原因の一つだと考えられています。年間約2000人に発症すると報告されております。ちなみに、昔は素潜りをする人によく発症と言われていました。 千原さん: 本当ですか?宮古島で毎年のように素潜りしているのですが、その原因は何ですか? 北城先生: 素潜りをして浮き上がってくる際に血流の中に気泡が発生し、それが血管に詰まることが原因だと考えられています。昔は「潜函病(せんかんびょう)」とも言われていました。 千原さん: 特に宮古島では朝方まで泡盛を飲んでから潜りに行くので、その影響もありそうですね。 北城先生: そうですね。千原さんのようにお酒を飲む人や素潜りをする人は注意が必要です。発症後の治療についても聞かせていただけますか? 千原さん: まれに壊死が止まる場合もあると聞いたので、診断から3~4ヵ月の間は経過を観察していただきました。 北城先生: その後の経過はいかがでしたか? 千原さん: 地獄の痛みで、1時間おきに目が覚めるので寝ていられませんでした。 北城先生: 手術は考えられましたか? 千原さん: 人工関節が劣化すると手術で関節を入れ替えなければいけないとか、脱臼すると強い痛みが発症するという話も聞いたので少し躊躇しました。 北城先生: 大きな手術になるので躊躇しますよね。 千原さん: そうですね。担当医師から人工関節の劣化や脱臼は数年前の話で、今は人工関節を入れ替えることや脱臼のリスクも少ないと説明があり、痛みから解放されるためにも手術しようと決意しました。 北城先生: 手術の方法として人工関節だけでなく、骨切り術の説明もありましたか? 千原さん: ありました。骨切り術と人工関節の違いについて教えてください。 北城先生: 骨切り術は、手術で骨の向きを変えることで潰れていないところに体重が加わるようにして痛みを軽減する方法です。自分の骨を温存できるというメリットがあります。 千原さん: 人工関節はいかがですか? 北城先生: 人工関節は、骨を切ってそこに金属を入れる方法です。骨盤と太ももの金属の間にプラスチックのクッション材が入っています。昔はプラスチックがすり減ってしまい、入れ替えが必要だったのですが、技術の進歩でほとんどすり減らず長持ちするようになっています。 千原さん: 技術が進歩しているのですね。手術にもスマートフォンのアプリが使われていました。 北城先生: 昔は手術の時にレントゲンを撮りながら人工関節を入れる場所を確認していたのですが、最近はQRコードをアプリで読み取ることで、より正確に手術中の関節角度や骨の位置関係が分かるようになっています。 千原さん: すごい進歩ですね。 北城先生: 手術時間も以前は1時間半くらいかかっていたのですが、現在は技術の進歩により30~40分くらいで済むようになりました。 千原さん: それ以外に変わったことはありますか? 北城先生: 手術の方法も少しずつ変わっています。昔は股関節の後ろ側から手術することが多く、そのため筋肉を切る必要があったのですが、現在は股関節の前から手術することで筋肉を切らずに済み、術後早期から歩くことができるようになりました。 千原さん: 人工関節だけでなく治療技術も進歩しているのですね。切り取った骨が欲しかったのですが、ダメだったので写真を見せてもらいました。 北城先生: 見てどう感じましたか? 千原さん: まるでバニラストロベリーのアイスクリームのようでしたね。 北城先生: 色合いが似ていますよね。