危険すぎるトランプ政権の「同盟国への罰金」政策…ではハリス民主党政権ならば日本にとってお得だったのか?
反米の選択 トランプ再来で増大する”従属”のコスト #1
トランプの米大統領復帰が決定したことを受け、各報道機関が様々な懸念を表明している。しかし、今回の大統領選の結果から、もうひとつ問われなければならないのは果たして「民主党政権の継続ならばよかったのか」という点だ。 【画像】「同盟国に罰金を」と唱えるロバート・オブライエン氏 経済学者の大西広氏の書籍『反米の選択 トランプ再来で増大する“従属”のコスト』より一部抜粋・再構成し、解説する。
現状ではなく「どのような変化が必要か」を問う必要性
「ハリスになればバイデン外交が継続されるだろう。しかしトランプになるとどうなるかわからない!」──これは異口同音に語られてきた「外交専門家」の言い方で、日本でも選挙戦の最中、9月3、4日に言論NPOが東京で開催したシンポジウムでもすべての「専門家」がその立場を採っていた。 私の見るところ、肉体労働者風の言いまわしでまくしたてるトランプと同類と見なされることを避けた逃げ口上に聞こえるが、トランプの復活は「政権交代」なので確かに政策は大きく変化することにある。ただし、我々の課題はその「予測不能」を「予測可能」とすることであって、専門家がその役割を果たせていないことに正直がっかりする。 これは言い換えると、「専門家」なるものがいつも現状の延長でしかものを考えることができていなかったことを意味するが、その「現状」はそろそろ根本的に転換されなければならない段階に達している。 たとえば、1970年代にニクソン大統領が金とドルの交換を停止し、米中関係の改善という大転換をリードしたが、アメリカ一国で世界の半分をカバーしきれなくなったアメリカがこうした転換をいつかしなければならなかったのは確かなことであった。 そして、もしそうすると、中国のプレゼンスが科学技術と経済でここまで高まり、合わせてグローバル・サウスがここまで前面に出るようになった現在ではどのような変化が必要かが再度問われなければならない。 トランプの「予測不能性」はそうした要素なしに考えられないということが重要である。