「人間じゃない」青学大・野村昭夢が山下りのヒーローになったワケ…箱根駅伝2025「TVに映らなかった名場面」復路編
【9区】“陸上界のガリレオ・ガリレイ”八田先生のナイスな給水
僕は仲間と「オトナのタイムトライアル」という草の根トラックレースをやっているのですが、ペースメーカーとしてよく参加してくれているのが東京大学大学院の古川大晃選手です。 熊本大学から九州大学の大学院に行き、全日本大学駅伝に出場。そこで箱根にも出られるんじゃないかと、東京大学大学院へと進学します。そして最後の出場チャンスとなる今回の箱根駅伝予選会で好成績を残し、念願の学連選抜に選ばれたのです。 古川選手はよく「お金がない」と言います。そこで古川選手がランニングシューズを買えるように募金を企画したこともありました。ところが予選会で履いていたのはアディダスの8万円もするEVO1。ネットで格安で販売していて、ワンサイズ大きかったけれど購入したというのです。 レース後、この話を聞いたアディダスがぜひ古川選手を応援したいということになり、すぐにシューズを提供してくれたそうです。 その古川選手に、横浜駅前で給水をしたのが東京大学の八田秀雄教授です。八田先生は「乳酸は疲労物質ではありません」と長年言い続けてきた、陸上界のガリレオ・ガリレイみたいな人。長距離だけでなく、短距離も、投擲系も、すべての陸上関係者が「八田先生!」と慕うほどの権威です。ちなみに給水の瞬間、東大の八田先生のプロフィールにアクセスが集中し、サイトが落ちたそうです。 もう1つ、僕が注目していたのは青学大の田中悠登選手。彼とは高校3年の時に出場していた福岡クロカンから個人的に交流があったのですが、気がついたら青学大のキャプテンにまでなっていました。 卒業後はアナウンサー志望ということで、エントリーシートの書き方などの相談にも乗り、無事に福井放送にアナウンサーとして就職が決まりましたが、やりとりをするなかで、アナウンス力よりも企画力の方が光るものがありました。「アナウンサーよりもディレクターを目指してみるのはどうか?」とすすめたこともあったくらい。 それを再確認したのも、今回の横浜駅での給水でした。これまで横浜駅での給水では、数々のドラマが生まれてきました。自分たちも記憶に残る給水をしたいと思ったのではないでしょうか。同じ4年生の片山宗哉選手と走りながらの乾杯をしてからの給水。あのシーンを見た時、やはり彼の企画力はすごいなと実感しました。
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