東急が「ベトナムの工業地帯」に造る近代都市の姿 日本での「都市開発」経験がベトナムで生きる訳
■「Always NEW!」というコンセプト 年を経るごとに発展していくビンズン新都市ですが、そこには一貫して「『Always NEW!』というコンセプトが掲げられている」とBECAMEX TOKYUで副社長を務める平田周二さんは話します。 たとえば、飲食店やフードコートが立地しているHikariエリアもそのひとつ。2022年にこのエリアは拡張され、より多くの料理を楽しめるようになりましたが、それだけではありません。コンポスト(飲食店から排出される生ゴミを堆肥化する設備)やアクアポニックス(施設内の池で養殖している魚の排泄物を栄養素として植物が成長する循環型農業の仕組み)が導入されたほか、施設内の植栽を「Edible Landscape」(食べられる景観)にする計画も進められているそうです。
医療や教育といった面でも、ビンズン新都市はめざましい進化を遂げているほか、エンターテインメントも充実しています。2013年から日本のJリーグチーム「川崎フロンターレ」と提携し、毎年、親善試合や交流イベントが開催されているだけでなく、2021年には同クラブのサッカースクールが開校しました。 こうした多様な要素を盛り込んだ「生きたまちづくり」こそが、東急が長年にわたって培ってきた強みなのでしょう。そして「今後も不動産開発だけでなく、まちのモノやコトを充実させていくことで、地域の価値を高めていく。それが私たちのミッションだと考えている」と平田さんは話しています。
■日本での経験を生かしたまちづくりを進める 東急が手掛けるまちづくりといえば、東京の渋谷や田園調布をはじめとした東急線沿線、最近では東急歌舞伎町タワーで話題になった新宿などが有名ですが、その根幹には常に「まちを面的につくる」姿勢があります。 「まちづくりはビルをつくって終わりではなく、その機能がまちににじみ出していくところまで想定しなければならない。それをこれだけ中長期にわたり、1000haもの敷地で実践させていただけているのは本当にありがたいことだし、日本ではなかなか経験できないことだと思っている」と平田さんは話します。