「もっと上に行きたかった」パリ五輪はベスト8敗退...藤尾翔太が次に目ざす場所は“A代表” 「僕たちの世代も食い込んでいかないと」
「黒田監督は本当に勝利に貪欲で、熱い監督」
攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第44回は、FC町田ゼルビアのFW藤尾翔太だ。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開! 前編ではバイタルエリアでの意識、躍進を続ける町田の強さの理由を訊いた。後編では自身の精神面や町田の黒田剛監督、パリ・オリンピックについて語ってもらった。 ――◆――◆―― 黒田(剛)監督は、当たり前かもしれないですけど、すごく負けず嫌いな監督だと思います。本当に勝利に貪欲で、熱い監督です。 練習でも僕たちがぬるい練習していると、すぐに止めて気合を入れ直してくれる。いい方向に持っていくのが上手い印象ですね。 J1で追われる立場となっていますが、プレッシャーは感じていないです。僕自身があまりプレッシャーを感じるタイプではなく、感じたら逆にプレーが悪くなるというか、かたくなってしまう。感じないようにはしているんですが、ただどうしてもシーズンの終盤になるにつれて、少しずつ重圧がかかっているとは思います。 そういう僕のメンタルは、鍛えたわけではなく、もともとの性格ですかね。コーチにメンタリティの部分あまり言われたことがなく、小さい時から気が強いタイプだったので、子供の頃からだったような気はします。 両親の教育方針で特別なことがあった記憶はないですけど、僕は昔からめちゃくちゃ自由に育ったので。縛られることはなく育ててもらったのが良かったのかなと。 サッカーは親と4歳上の兄貴が先にやっていて、それで気が付いたらボールを蹴っていた。サッカーがすごくやりたかったわけではなかったのですが、勝手にサッカーが習慣になっていて、それが今でも続いているような感覚。兄貴とはライバル心というか、切磋琢磨し合ってこれたのも良かったです。
「水かけはルーティン的な感じが強い」
今季、上位を走る好調の町田において、世間の注目を集めたのは、藤尾がPKキッカーを務めた際の自身が蹴るボールへの水かけだ。賛否が分かれたこの行為を本人はどう思っているのか。 ――◆――◆―― 周囲から言われることに対して、自分が悩んでいることは何もないです。勝つために全力でやっているだけなので。 ボールに水をかけることについて、周りのサッカー選手やコーチ、違うチームの指導者に訊いても、『なんでダメなのか分からないけど』と言われますし、客観的に見てもそれがめちゃくちゃ悪くてスポーツマンシップに反する行為だとはたぶん、周りも思ってないので、あんまり僕も気にはしていないです。 それでいろいろ言われてしまうのは、PKがよく入ってるからなのか、町田が上位にいるからなのか。なぜ本当にダメな行為だと思われてるのか分からないですね。 やり続けることでそれに世間も慣れてくるんじゃないかと。キーパーがキーパーグローブに水をかけるのとかと一緒の感覚だとは思っています。それもみんなやっているので、なにかと言われてしまうのは慣れていないだけだと考えています。 PK時にボールに水をかけることになったきっかけは、成功体験からです。僕は今シーズン、一度PKを外しているんですけど、その原因は芝が乾燥していて、蹴りにくかったというのが自分の中にあった。 ビッグチャンスなので、そういうミスをできるだけ減らせるように自分なりに考えた対策。次の試合でPKの時に水をかけてみたら、前に外したところと同じグラウンドでゴールを決められた。ルーティン的な感じが強いかもしれないです。
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