市場の変動にあらがう、トレンドフォロー戦略や厳選アクティブファンド、金(ゴールド)の組み合わせも
6月28日に新規設定された「三井住友DS・ジャパン・ハイ・コンビクション・ストラテジー」は、「綿密な企業調査に基づくボトムアップ・アプローチにより、持続的な利益成長や株価の割安度に対する確信度等を勘案して厳選投資する」という日本株のアクティブファンドだ。8月の急落時には基準価額が7705円まで下落する場面もあったが、すぐに9000円台を回復した。市場全般が下げる中では、厳選した銘柄群であっても株価が連れ安することはあるが、将来の利益成長が確かであれば、今後の株価回復局面では、株価指数(インデックス)を上回る株価上昇が期待され、中長期的にはインデックスを上回る成果が期待できるだろう。インデックスの大きな価格変動にあらがうという点では、運用会社の調査力に期待してより内容の良い銘柄を選別投資することによって、下げ局面では下落率を抑制し、上げ局面ではより高いリターンが狙えるというファンドも1つの投資対象といえる。
一方、特定の資産に投資せず、幅広い資産に分散投資することによって株式市場の価格変動を抑制するという考え方もある。たとえば、日本を含む世界の株式、債券、リート、金(ゴールド)等に分散投資を行う「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド(愛称:ポラリス)」は、今回の7月末から8月6日の下落局面で、下落率が7.4%にとどまった。日経平均連動型のインデックスファンドでは19.5%程度も下落したことを考えると、下落率は抑制されている。金(ゴールド)の価格は、NY金先物が8月8日から連日で史上最高値を更新している。株式市場等が不安定な中で注目を集める金を投資先に加えることも、株式市場が不安定な時には有効だ。「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)」は、世界的に株価が下落した8月初旬でも基準価額は上昇していた。過去10年で年率3.15%のリターンをあげていることを踏まえれば、株式ファンドとの組み合わせによって株価変動のヘッジ手段として一定の効果を期待できよう。
今後の株式市場は、米国の景気見通しも含めて世界的に不安定なものになるのではないかと懸念されている。株価の下落に遭遇して、資産価値が大きく目減りしてしまうと、そこから資産価値を回復するためには長い月日が必要になるものだ。できるだけ、価格変動による資産価値の低減を低く抑えることを考えたい。資産形成途上にあってインデックスファンドの積立投資は、価格変動リスクを抑える手段になる。すでに大きな資産を保有している場合は、既存のポートフォリオに価格変動が低い資産等を組み合わせることでリスクを小さくすることも検討しておきたい。(グラフは、「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジあり)」のパフォーマンス推移)
ウエルスアドバイザー