初の全国4強から一年。追われる立場の難しさと向き合った堀越が狙うは“創部初の日本一”【選手権直前レポート】
「選手権でベスト4。自分たちがどこかで浮き足立っていた」
また、選手権4強という事実は、自分たちの力を見誤らせる事態にもなった。キャプテンの竹内も当時のチーム状況をこう振り返る。 「相手の問題ではなく、自分たちのメンタル面が問題だった。去年の選手権でベスト4という結果を残し、自分たちがどこかで浮き足立っていた。王者感覚でいて、悪く言えば調子に乗って“自分たちは強い”と勘違いをしていたんだと思います。これくらいやれば勝てるだろう。そういう雰囲気があって、チームでも個人でも緩んだ気持ちがあり、それがプレーに繋がった」 新チームが立ち上がった2月に竹内は、「相手は自分たちの対策をしてくるから、浮き足立たずに去年のことを忘れて組み立て直そう」という声掛けをしたという。しかし、その言葉は響かず、気がつけばインターハイ予選が終わっていた。 このままではまずい。危機感が高まるなかで、チームは転機を迎える。 6月26日に行なわれた東京都リーグ1部・第8節のFC東京U-18 Bとのゲームだった。リーグ戦3連敗中だったチームに向けて、竹内は試合前に「この試合があったから変われた。ターニングポイントにしよう!」と発破をかけたという。結果は2−2の引き分けだったが、プレー強度や身体を張ってゴールを守るといった基本を再徹底できたことは、選手に自信をもたらした。 FC東京U-18 B戦が基準となり、夏合宿では戦術的な要素の修正に着手。4−3−3か4−2−3−1にシステムを変更し、ゼロトップでプレーしていた2年生10番のMF三鴨奏太をトップ下に配置転換した。ボールの収まりどころができ、攻撃が活性化。もつれた糸を一つひとつ丁寧に解いた結果、チームは勢いを取り戻した。 選手権予選は破竹の勢いで勝ち抜けて代表の座を掴み、リーグ戦も後半戦負けなしで初優勝。惜しくもプリンスリーグ関東2部参入プレーオフは敗退となったが、春のような脆さはない。取り戻した自信を胸に臨む真冬のビッグトーナメント。目ざすはただひとつ、昨季の4強を超える優勝だ。