「施設の場所は親の家・子の家どちらの近くがうまくいく?」親のための施設探しの基本のキを社会福祉士が解説
通いやすい場所や快適な環境を探す
また、子の側が通いやすく、親が住み慣れた環境に近い場所を見つけられたらいいかもしれません。これまで公園の散歩が日課だったのであれば、近くに同じような規模の公園を探して、散歩に連れ出すのも気晴らしになって良いでしょう。 筆者は、特別養護老人ホーム(特養)や介護付有料老人ホーム、グループホームなど様々な種類の施設を訪問していますが、どこも人手不足は深刻です。スタッフのかたたちは利用者の日常のケアが精一杯ということも多く、外出はあまり期待できない施設もあるため、親がこれまで暮らしてきた場所に強くこだわる必要性はそれほどないかもしれません。 また、食事もその土地の特色よりも、身体状況に合わせた形状や味付けになります。こうしたことから、要介護3以上など、要介護度が進行している場合も施設選びは、立地による違いは、それほど大きくないというのが筆者の持論です。 多くの施設は、面会や家族との外出には好意的ですし、何よりも本人が喜びます。親と過ごせる時間や、緊急時のリスクを考えると、すぐに駆け付けられる距離感の施設が良いのではないでしょうか。
縁もゆかりもない土地は入所に不利なことも
一般的な有料老人ホームや特養は、全国どこでも入所できますが、全く縁もゆかりもない場所を選ぶのはおすすめできません。 緊急時の対応などが難しくなるため、施設側としてもハイリスクです。特に空きを待つことが多い人気の特養では、入所判定の加点が厳しい場合もあり、なかなか入所が回ってこないことも。特養では、現在住んでいる地域や子が住んでいる地域のほうが入所に有利になります。
地域住民限定の介護保険施設も
また、介護保険で利用できるサービスの中には、地域密着型サービスと呼ばれる対象者を地域住民に限定したサービスが存在します。親の住む地域、子が住んでいる暮らす地域に親を呼び寄せる場合も利用できます。入所施設では以下が該当します。 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 認知症の診断を受けた高齢者が、少人数(5~9名)で共同生活を送る施設 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(特別養護老人ホーム) 特養のうち入居定員が29名以下の小規模な施設 地域密着型特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホームなど) 特定施設(介護付き有料老人ホームなど)のうち入居定員が29名以下の小規模な施設 子の住んでいる地域で、これらの施設を検討する場合は、親の転入時期の見極めも重要となります。 転入後すぐに申し込めるのか、期間が必要なのか、もしくはキーパーソン(本人に代わって重要な役割を果たす人)が地域に住んでいればOKというところもあります。お目当ての施設や市区町村の介護保険課にあらかじめ確認しておくと良いかもしれません。