「施設の場所は親の家・子の家どちらの近くがうまくいく?」親のための施設探しの基本のキを社会福祉士が解説
「親の家の近く」「子の家の近く」メリット・デメリット
まず、住み慣れた「親の家(実家)の近く」の介護施設を選ぶ場合。 メリットは、かかりつけの医療機関の受診や地域の活動への参加など今までとあまり変わらない生活を送れることです。 デメリットは、選べる介護施設の選択肢が少なく気に入った施設が見つかりづらいともいえます。 そして、「子(介護する家族)の家の近く」の介護施設を選ぶ場合。 最大のメリットは、面会時の負担が減ることでしょう。緊急時に頼れる人が近くにいることは双方の安心にもつながります。 デメリットは、本人の自宅から離れてしまい環境に変化があると、本人のストレスが増大する可能性があります。
要介護度によって状況は変わる
ただし、これらはあくまでも一般論です。 実家の近くを選んだ場合、ある程度元気な人ならメリットを享受できるでしょう。しかし、多くの人が施設を検討する”要介護3以上”の場合、あまりメリットはないかもしれません。 なぜなら、要介護3以上の人が自分の意志で地域の活動に参加することは考えにくく、施設では提携医療機関が決まっていることもあるからです。要介護状態が進行している場合には、サポートがなければ、近所のかかりつけの病院に行くことすら簡単ではないのです。
親の家より「子の家の近く」がおすすめの理由
筆者の考えとしては、親の介護施設への入居を決断したのなら、「介護者である子の家の近く」を選ぶことをおすすめします。 理由は、面会にはできるだけ通ってほしいこと、そして、通院や緊急時の呼び出し、日用品の差し入れなどが思ったよりも頻繁に発生するからです。 遠方だと交通費も向かう時間も負担になってきます。知らない土地で環境が変化すると人間関係が上手くいかないのでは、と心配になるかたもいるかもしれませんが、親の地元の施設を選んでも、その施設がその地域の人ばかりとは限りません。 一から人間関係を作るのはどこの施設でも一緒です。それなら家族が通いやすい立地のほうがお互いに安心です。 親の実家に住む(引っ越す)ことができるのならそれも良いでしょう。親の家を引き継いで、親は近所の施設という考え方もあります。