【まもなく15年ぶりの「土星観測」のチャンスが到来!】星を10倍楽しむコツは驚くほど簡単だった 2024年秋に訪れる「衝」を“東大宇宙博士”が解説
観察力のすごさは、「惑星」に対してもいえます。 惑星は太陽のまわりを回る大きくて丸い天体です。それぞれマイペースで太陽のまわりを回り、恒星とは違って夜空で惑うように動いて見えるため「惑星」と呼ばれます。 ただ、マイペースとはいっても、でたらめに動いているわけではないのです。 太陽を1周する日数は惑星ごとに決まっていて、太陽に近いほど短くなります。たとえば、水星は88日で、土星は約30年です。 この違いは夜空のなかでの動きかたに現れ、水星は速く、土星はゆっくり動きます。
■惑星の動き方に「神様の特徴」が反映されている ギリシャ神話では、惑星は神様と見なされていますが、おもしろいことに、水星は足の速い伝令の神で、土星は足の遅い老人の神とされています。惑星の動きかたが「神様の特徴」に反映されているのです。 他の惑星はというと、ダイヤモンドのように輝く金星は、見た目はきれいだけど心は美しくない美の女神「アプロディーテ(ヴィーナス)」、恒星をしのぐ明るさで存在感を放つ木星は、浮気ばかりしている全知全能の最高神「ゼウス(ジュピター)」、血を連想させる真っ赤な火星は、じつは人間よりも弱い戦いの神「アレス(マーズ)」……などなど。
惑星の見た目の違いが反映されつつも、みんな結構なクセものなのです。 神々をめぐる物語には、ロマンチックな話もあれば、人間味を感じる泥臭い話もあります。いろいろと調べてみて、惑星を見ながら夜空を躍動する神々の姿を想像してみるのもおもしろいですよ。 この秋は、スペシャルな土星を楽しむことができます。 9月8日、土星が地球から見て太陽とちょうど反対側にきます(天文学の用語で「衝」といいます)。 年間でもっとも大きく明るい土星が、日の入りごろに東から昇り、日の出ごろに西に沈むまで、一晩中見られるのです。
■今年15年に一度の好機到来! 「土星観望」 9月17日には、土星が「中秋の名月」と大接近します(中秋の名月については、次回詳しくお話します)。 そして来年2025年には、なんと、15年ぶりに土星の環が消失します! ……といっても、本当に環がなくなるわけではなく、土星を真横から見る位置関係ため、環が見えなくなるのです。 すでに現時点でも環は細くなっていて、土星は串にささった団子のような姿をしています。 来年の消失に向けて、ぜひこの秋の土星も見ておきましょう。