「アッシー」「メッシー」「ミツグ君」という言葉、ご存知ですか?
人気放送作家にして戦略的PRコンサルタントでもある野呂エイシロウさんが、長い業界生活の中で見聞きし、あるいは遭遇した、恋するオヤジさんたちの愛すべき艶話をこっそり披露する連載です。今回のテーマは……。 野呂エイシロウの「それはまた誰かのハナシ」
■ 死語!? 否「アッシー」健在!
この間、羽田空港である女性に偶然会った。隣の男性が旦那かと思ったら違っていた。「彼にクルマで送ってもらったの。電車やバスは面倒だから」と言い放った。帰りも迎えに来てくれて、そのあと、ご飯に行くというのだ。 僕は、あることを思い出した。今から30年ほど前、学生の頃に「アッシー、メッシー、ミツグ君」という言葉が流行した。僕は、いつも彼女を迎えに私立大学の門の近くにクルマを止めた。「あ~ぁ、野呂さんも外車だったらなぁ~」とため息をつかれるたびに落ち込んだ。 アッシーとは「足」、運転手である。女性に仕えるのが当然の当時、僕は、「アッシー」だった。メッシー(飯)、ミツグ君(プレゼント)はお金がかかるが、アッシーはガソリン代だけだ。羽田で会った女性に「あなたのアッシーだね?」と言ったら、「ナニソレ?」と突っ込まれた。知らないほうが幸せかもと思う。 今は僕もちょっとお金があってご飯もごちそうできる人間に成長した。裏で「メッシー野呂」と呼ばれていたりして。とはいえ、女性に尽くすのが男性の役割だ。次は「ミツグ君」になれるように頑張ろうと思う。ファイト!
● 野呂エイシロウ
『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家デビュー。気さくな人柄と豊富な知識、そして巧みな話術にファンも多い。現在は戦略的PRコンサルタント業務など、多忙を極める。 2024年8月号より
文/野呂エイシロウ イラスト/早乙女道春