EXILE TAKAHIRO、丸2日間ほぼ寝ずに歌い「人生って深いな」 歌うことの苦しみと楽しさ語る
2006年にEXILEに加入してから18年。TAKAHIROは歌とどのように向き合ってきたのか。AERA 2024年12月16日号より。 【写真】TAKAHIROさんの別カットはこちら * * * ──EXILEに加入してすぐに「歌の道は厳しい」と感じた。 カラオケでは好きな曲を歌うことが多いと思うのですが、加入してすぐにそれまであまり歌ったことがなかったアップテンポのR&Bを歌うことになり、自分が苦手な分野だと認識しました。ATSUSHIさんはすぐにレコーディングを終えていましたが、僕は丸2日間ほぼ寝ずにレコーディングをした。100本ノックをやっているような感覚でした。自ら望んで逃げも隠れもできない合宿所に入ったような気持ちになりました。喉から血を流しながらもちゃんと歌えるまでやらせてもらえたのは、僕にとっては良い経験でした。僕の性格上、ぬるま湯のような場所にいると成長しなかったと思います。「得意なことが仕事になるわけではないんだな」と思いましたが、苦しみを乗り越えると楽しさがある。「人生って深いな」と未熟者ながら思いました。 ──課題があり続けることに対して感謝しているという。 僕はあまり人に相談せずに自己解決することが多いのですが、解決に至るまでかなり時間がかかります。AかBか迷った時に試行錯誤を2周くらいやってみて、「Bだな」と思ったとしても、数年後に「Bじゃないかもしれない」と思うことが多くある。ずっとその繰り返しをやっている気がします。 歌は自営業だと思っています。なので、後輩に相談されたとしても、僕が思う美と後輩が思う美は違いますし、良いところは探せるけど悪いところは直せない。だから具体的なアドバイスよりも、精神的な話をすることが多いです。 ■大スランプを克服 僕は一時期、発声障害のような症状によって大スランプに陥りました。本来病院に行くものだと思うのですが、自分で生み出したものなので自分で治すしかないと思い、ファンクラブイベントを開催して逃げも隠れもできない状態で歌い切る中で治すヒントを見つけようとした。その中で、針の穴ぐらいの小さなヒントを手繰り寄せることを重ね続け、どうにか良い方向に持っていくことで症状がほぼなくなっていった。僕と近い症状になってしまった後輩には「どうせ自分なんて」と思ってしまったら終わり、抜けることだけを考えれば絶対抜けられるという話をしています。 やっぱり歌は自分の中での問題なんです。昔は周りからの評価がどうしても気になっていたのですが、今ではネガティブな反応は気にせずに、心の声に寄り添うことを意識しています。守るべき家族ができたことは大きいです。周りの評価ばかりを気にしなくなったことで自己評価が少しずつ上がってきた。不思議なものですよね。 (構成/ライター・小松香里) ※AERA 2024年12月16日号より抜粋
小松香里