森口博子「推しがいると自分は1人じゃないと思える」50代からの新しい生きがい
11月4日は「いい推しの日」。『機動戦士Zガンダム』の主題歌で注目を集め、多くのファンに“推される”存在の森口博子さんは、現在K-POPにハマり、推しがいる素晴らしさを実感しているそうだ。「泣きそうなときでも、推しの動画を見ると自然と笑顔になれる」と語る森口さんに、50代で独身生活を謳歌する中での生きがいや、歌手活動への思いを聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
ガンダムは人生のパートナーであり恩人
――森口さんの人生の転機は『機動戦士Zガンダム』と出会ったことだとうかがいました。 森口博子: 私は17歳の時に、『機動戦士Zガンダム』のオープニングテーマ『水の星へ愛をこめて』で歌手デビューしました。ガンダムは歌手になるという夢を叶えてくれて、人生をガラリと変えてくれたんです。 アニソンって食わず嫌いの方が多いんですけど、実は素晴らしい曲がたくさんあるんですよね。そういった感動を伝えたくて、2019年にガンダムソングをカバーしたアルバムを発売しました。そうしたら、50代にして初めて、TBSのレコード大賞・企画賞をいただくことができたんです。「夢には締め切りがないんだ」って本当に思いました。アニソンがいろんな夢を叶えてくれて、私を救ってくれた。私にとってガンダムは人生のパートナーであり、恩人です。
自分のペースで生きる時間が心地いい
――森口さんは今、独身生活を満喫されているそうですね。その中で心がけていることなどはありますか? 森口博子:30代に入って厄年を迎えた頃、体調を崩してはじめて「食事ってこんなに幸せなことなんだ」と実感したんです。それから、人間らしい生活にも目を向けるようになりました。おいしいものを食べて、家族と一緒に笑う時間を本当に大切にしたいな、と。 友達に話を聞いてもらうことも大切ですね。昔は、人に弱音を見せたら負けだと思っていました。完璧に見せたいという気持ちがあって、強がっていたんです。でも、大人になって気づいたのは、そうすることで本来の潜在能力が弱まっていくんだということ。体調を崩したときに、ダメな自分も受け入れて、さらけ出すことでこんなにも楽になるんだと実感しました。それ以来、友達や姉に話を聞いてもらうことを心がけています。 ――年齢を重ねる中で、結婚に対する考え方に変化はありましたか。 森口博子: 30代や40代は、結婚したいというより「しといた方がいいかな」っていう、少し計算高い気持ちがあったんです。パートナーがいた方がいいのかな、くらいの感覚でした。 その当時は、実際に結婚をするなら35歳ぐらいがちょうどいいのかなと思っていました。仕事も続けながら、子どもも35歳だったらまだ望める年齢なのかなって、その頃はぼんやり考えていたんです。でも、実際に35歳になったときに、「今あるこの時間を手放したくない。この状況を変えるのはもったいない」って思ったんです。そこからは、自分が好きなことを追求していったら、1人の生活が本当に楽になってきて。今では、自分のペースで生きる時間がすごく心地いいなと思うようになりましたね。 1人が楽になったからこそ、誰かと生活のリズムを合わせたり、譲り合ったりすることができるのか不安なんです。想像するだけでも大変そうだなって思います。でも、「この人とだったらできる」という人が現れたら、私なりのペースを保ちながら、もっと豊かな時間を過ごすことができるのかもしれない。何が何でも結婚したいわけではなくて、そういうご縁があればいいな、という感じですね。それが60歳なのか、70歳なのかわかりませんが。今はこの時間が楽しいんです。