おぎやはぎ・矢作「小木に腹が立つこともある」それでも怒らない理由
10月1日は「メガネの日」。コンビでメガネをかけているお笑い芸人・おぎやはぎの二人は、お互いを褒め合う芸風で、コンビ仲がいいことで知られている。一方で、矢作兼さんは「小木と一緒にいたら、大抵の人は腹が立つんじゃないか」と語る。常識という物差しに縛られず、自由な相方の存在を受け入れているという矢作さんに、怒りの感情をコントロールする方法について聞いた。(ジャーナリスト・中村竜太郎/Yahoo!ニュース Voice)
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怒っている人は一生懸命
――矢作さんは“怒らない人”という印象がありますが、自分ではどう思いますか。 矢作: もちろん感情はありますし、腹が立たないというよりは、怒らないようにしているというのが本当のところ。自分の中で怒っていいことと怒らなくていいことがあって、怒らなくていいことで怒ることはしないようにしようとしているだけです。ただ、サラリーマンの方をはじめ社会に出て仕事をしている人で一生懸命やっている人は、やっぱり怒るんです。一生懸命やっているのに相手に生ぬるいことをされたら、それはもうイライラするでしょう。理想は「自分が一番真剣にやっていて、人に甘い人」ね。でもそれは仙人レベル(笑)。だいたい真剣にやっている人は、仕事に対しては怒りやすい人が多いから、相手に愛情が伝わっているのであれば、そういう場合はしょうがないとは思います。 ――ほかに気をつけていることはありますか。 矢作: しょうもないことで怒るっていうんですかね、損得勘定で怒る、自分が損をするから怒る、ということはしません。それと、僕はまず「自分が悪いんじゃないか」と考えます。10回中9回ぐらいは自分のせいにするかもしれない。で、1回ぐらいは人のせいにしないと精神的に壊れちゃうんで、そのときだけは「絶対あいつが悪い」「俺は悪くない」って人のせいにするかも(笑)。 最初に「自分が悪いかもしれない」と考えてしまうのは、コントや漫才のネタ作りでいろんな角度から物事を考えるようになり、物事を両方の視点で考える癖がついたせいかもしれません。 ――そうやって怒りの感情をコントロールしていても、カチンとくる人はいませんか。 矢作: そうですね、たしかに嫌な人は多いです。こっちが謝っているのにずっとグチグチ言ってくる人は嫌い。いい人だとは思わない。そういう嫌いなタイプには「なんだこいつ」「大嫌い、あの人」って思うでしょ。でもそれが、時間がたつとかわいそうな人間に見えてきて…。あの程度で怒るのは気が小さい人というか、すごく臆病な人。実はかわいそうな人なんだから、むしろいたわってあげなきゃいけないんじゃないか、そんなふうに考えが変わっちゃう。だから僕の頭の中に、嫌いなまま居続ける人はいません。「最初は嫌いだったけど、あの人にもあの人なりの何かがあるんだよなあ」と思うと、あんまり腹が立たなくなってきますね。だってすごい悲しい人だとは思いません?些細なことで怒る人って。 ――怒りで眠れないとか、翌日まで引きずるということはないですか。 矢作: 基本ないです。寝たら大丈夫。次の日まで怒っているということは記憶にないです。けれど旅行の際にはイライラすることがあります。僕は、時間どおりにやるのが本当は好きな人間なんです。たとえば、家族で旅行に出かけようというタイミングで、玄関で10分待つことがありますよね。計画を立ててそれに間に合わないなと思ったら、「ちょっと早く」「急いで急いで」とせかしちゃう。たいがい相手はキレて、逆に「あれをやっておいてくれたらもっと早く出られたのに」と口げんかになる。相手の言い分はよくわかりますし、その後は自分のこだわりを捨てて、ゆとりあるスケジュールを組むようにしました。 僕の不徳の致すところなんですけど、支度が大変なのは理解していても口論になる。でもそこで、「それを言ったらおしまい」というセリフは間違いなくあるので、言葉選びにはすごく気をつけています。やっぱり大人は論破とかしない。激しく言い合ったとしても、ちゃんと相手の逃げ道を作っておかないと。