マスク氏との蜜月が原因?トランプ新政権であり得るサイバー分野「最悪シナリオ」とは
まるでディストピアのトランプ政権下「最悪シナリオ」とは
消費者・ユーザーの立場ではどうだろうか。 規制緩和によって経済が上向く可能性はある。だが、国家安全保障と個人の自由や自由経済とはあまり相性がよくない。 CISA長官のジェン・イースタリー氏は、2025年1月までに辞任することを発表している。後任人事は未定だが、アメリカのサイバーセキュリティ政策は、国際的な基準、自由なインターネットの視点で見るならば後退するだろう。 MAGAが経済よりも国家に寄るなら、おそらく監視や統制の名目のもと、経済活動は制限される方向だ。トランプ政権下のアメリカ政府が、たとえば全世界の「X」の書き込みや個人情報に自由にアクセスできるという誘惑にどれだけ抗えるだろうか? これは考えられるシナリオのうち最悪の部類に入るものだ。このインパクトを考えると、イーロン・マスクのDOGE(政府効率化省)長官など、ただの目くらましに過ぎない。中国・北朝鮮以上の言論統制が可能になるからだ。 そんなことをすれば、人々はXを脱退するだけだが、逆に言えば抑止力はそれしかない。 もちろんこれは最悪のシナリオで、このシナリオの実現性は低いと考えられる。民主党政権による行き過ぎたリベラル路線(生活や経済に直結せず)が国民の反発を買った。その反動で、トランプ政権発足直後は保守的、右翼的な政策が支持されるだろう。だが、左右どちらの側でも行き過ぎた政策は、全体主義、体制主義に向かう。過激な政策はマスコミやインプレゾンビが喜ぶだけで、国民にメリットはない。
〔参考文献〕 ・5 cybersecurity priorities for the Trump administration(Forbes) https://www.forbes.com/sites/chuckbrooks/2024/11/18/5-cybersecurity-priorities-for-the-trump-administration/ ・CISA Director Jen Easterly, in Place Since 2021, to Step Down(government technology) https://www.govtech.com/security/cisa-director-jen-easterly-in-place-since-2021-to-step-down ・More Spyware, Fewer Rules: What Trump’s Return Means for US Cybersecurity(Wired) https://www.wired.com/story/trump-administration-cybersecurity-policy-reversals/
執筆:フリーランスライター 中尾 真二