イーロン・マスクが「トランプ応援」に執着するワケ…「当選の見返り」のとんでもない内容
「政府効率化省」の役職
それにしても、なぜここまでマスクはトランプにご執心なのか。 マスクは、冒頭で触れたマディソン・スクエア・ガーデンで、政府予算を2兆ドル削減する、と宣言していた。すでにトランプから、政府の効率性を見直す役職をもらう約束を取り付けているという。その組織名はマスクによるとThe Department of Government Efficiency、すなわち「政府効率化省」。だが、もっぱらマスクは略称の「DOGE」の方を使っている。マスクの言動に明るい人なら、この略称が、マスクの大好きなDogecoin(ドージコイン)から取ったものであることにすぐ気づくだろう。変顔をした柴犬がトレードマークのクリプトカレンシーである。 したがって、DOGE構想についても、ふざけているだけなのか、どこまで本気なのか、疑いたくもなるのだが、Twitterの買収後に、それまでのTwitterのシンボルであった「鳥」の代わりにDogecoinの柴犬を本当に使って、ユーザーの失笑を買ったことがあったのを思い出せば、政府の効率化のための大幅予算削減もマスクの頭の中では冗談ではないのかもしれない。ちなみに「省」というのは盛りすぎで、始めるにしても「委員会」の立ち上げくらいからのようだ。 マスクによれば、バイデン政権の予算規模は6兆5000億ドルというから2兆ドル削減とは、予算の3割を削ることを意味する。マスクの意図が単年度での削減なのか、それとも長期にわたる削減なのか、はわからないが、いずれにせよ、本当にそんなことがなされれば、アメリカ経済がひっくり返ると言われている。 トランプからは、火星への挑戦にもお墨付きを得られているというから、どこまで行ってもマスクは、自分の欲望に忠実だということだ。 かように今後は、マスクというジョーカーにもジャーナリズムは真顔で対処しなければならなくなりそうだ。そのせいか、マスクに対して、起業家としての最初期の活動が不法労働だったという報道や、NASAやペンタゴンと契約関係があるにもかかわらずロシアのプーチン大統領と何度も連絡をとっていたことを指摘する報道など、マスクを牽制する動きが早くも出始めている。