「重責がのしかかる管理職」働き方は変化するのか? IT新時代に求められるスキル
AIや自動化が進み、仕事の仕方が変わっていく中、管理職の役割も大きく変化しています。組織をどのように導き、自分自身のキャリアを築いていけばいいのか、迷っている方も多いのではないでしょうか。本記事では、これからの時代に求められるマネジャー像について、書籍『ビジネススクールで教えている武器としてのAI×TECHスキル』より解説します。 【解説】マネジャーの典型的な役割 ※本稿は、グロービス経営大学院著『ビジネススクールで教えている武器としてのAI×TECHスキル』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
管理職の役割とこれまでの変化
まず、管理職の役割をいくつかにブレークダウンしてみましょう。 マネジャーのあり方に関する考察で著名なヘンリー・ミンツバーグの論文では、マネジャーの仕事は大きく3つに分けられています。1つ目は対人関係役割、2つ目は情報伝達役割、3つ目が意思決定役割です。 このうち意思決定役割と情報伝達役割は、成果を出すことにより直接的にかかわります。それに対して対人関係役割は人を育てたり鼓舞したり、他部署との調整を図る役割です。この3つの役割を意識したうえで本稿を読み進めてください。 ここ十数年間のマネジャーの仕事の変化についてまず押さえておきたいポイントとして、マネジャーの責任が昔に比べ、重くなってきたという点があります。具体的には、単なる業務の管理監督者から、リソースの管理責任が生じ、さらに組織のフラット化によって周辺組織との調整まで含めたマネジメントをするように変化してきました。 さらにここにプレイングマネジャーの要素も加わります。2023年現在、概ね85%くらいがプレイングマネジャーです。プレーヤーとしての仕事が50%以上の管理職も4割以上いるとされます。 近年では、メンバーのマネジメントに求められるあり方も変わりました。より対話重視で配慮の必要性のあるやり方でコントロールしなくてはならなくなってきたのです。 また、フラット化した小さい組織が多く生じたことに伴って、管理職の仕事には、自分の組織のマネジメントをするだけではなく、組織外、あるいは外部ネットワークの活用でリソースを補うといったことが求められるようになってきました。 つまり、リソースの制約を超えて、どんどん組織外のものを活用することもマネジャーの仕事となってきたのです。この流れは、組織の垣根が低くなり、外部の企業や人材との協業が重要となる今後、ますます加速するでしょう。