「重責がのしかかる管理職」働き方は変化するのか? IT新時代に求められるスキル
IT新時代におけるマネジャーの仕事の変化
今後、マネジャーが率いるチームは、どんどんデータとITの仕組みを活用して、現場で自律的に動く組織になることが期待されています。短時間で意思決定していくことも必要です。データの統合などDXは最初は中央集権的にトップダウンで進むことが多いですが、ある程度浸透したら、次の段階では現場の自律的な判断でどんどん顧客(社内サービス部門であれば、社内顧客)の要望に合わせていくことが求められます。 DXが進むと、マネジャーが担ってきた情報伝達の役割も変わります。さまざまなデータが一元化されて誰でも見られるようになり、KPIや言語化されたノウハウなどが蓄積・可視化される結果、情報の非対称性が崩れていきます。 人事の機微情報等は別として、それ以外はほぼ可視化されすぐに検索できるようになっていくでしょう。つまり、情報格差で人をコントロールする時代ではなくなるということです。 そして、必要な情報のかなりの部分は簡単に手に入りますから、それを使って意思を持って物事を決めていく必要性が増します。 具体的には、自分の顧客(社内顧客も含む)のためにイシュー(課題)から見つけたり考えたりしなくてはならなくなります。自ら意思を持ち、情報を読んで、結論を出すというサイクルを高速で回す必要が出てくるわけです。マネジャーの意思決定役割が重要性を増すと言えるでしょう。 そのためには、クリティカル・シンキングの能力を高めて、より正しいイシュー設定や意思決定を行うことが必要です。クリティカル・シンキングは問題解決の思考法であると同時に、自分の意思決定に明確な根拠を付与する思考法でもあります。 さまざまな情報から何が言えるのか(So What?)を問う能力と、それとは逆に自分の主張についてなぜなら(Why?)を問いかけ理論武装する能力がきわめて重要になります。 また、(特に当面は)自分に必要な情報を整備してとっていくために、それをエンジニアに整備してもらわないといけません。彼らの力を使って自分に必要な情報を揃えなくてはいけないのです。それゆえ、ここでもテクノベート・シンキング*的な力も高める必要があるのです。これらのスキルを高めて業務を高速で回す必要があります。 *テクノベート・シンキングとは、徹底的にIT(機械)の力を活用することにより、人間だけでは実現できなかったソリューションを考案、実施しようという問題解決の方法論。テクノベートとはグロービスの造語で、テクノロジーとイノベーションを組み合わせたもの