「重責がのしかかる管理職」働き方は変化するのか? IT新時代に求められるスキル
人を相手にする仕事の変化
人を相手にする仕事も大きく変わることが予想されます。特に伝統的な日本企業では大きな変化がありそうです。 1つの大きな変化は、労働力の流動化です。正社員として長期間1つの業務、1つの企業に自身の時間の100%を注ぐ人は減っていき、管理すべきリソースの変化が激しくなったり、チームの定義が曖昧になったりします。かっちりした自分の部下と言える人は減っていきます。 そうなるとマネジャーは、先述した人脈(ネットワーク)を用いてリソースを集め、使うというスタイルに変化せざるを得ないでしょう。つまり、リソースの管理責任と言うとき、所与のリソースを管理するのではなくて、必要なリソースを集めてきて組織化し、管理して、不要な分は切るということまで責任が広がってくると想像されます。 たとえばある組織では、ITを用いた新プロダクトの開発にあたって、最初はマネジャーとエンジニア1人しか正社員がおらず、その後十何人も業務委託の人を集め、また他組織にさまざまな業務を依頼することでプロジェクトを進めていく、ということが起こるでしょう。 いったんサービスが出来上がったら、エンジニア組織は小さくし、オペレーションや営業の担当がさらに加わります。こうしたやり方がどんどん増えていくでしょう。それゆえ、プロジェクトをマネジメントする力が重要になってきます。 なお、プロジェクトのマネジメントについては、オーソドックスなプロジェクトチームの運営論(目標の明確化、メンバーの役割と責任の明確化、忌憚なくコミュニケーションできる場づくり、リソース管理、メンバー間のコンフリクトの解決など)に加え、IT時代においては、さまざまなプロジェクトマネジメントの方法論を知っておくことも大切です。 AIの進化などにより、プロジェクトの期間もどんどん短くなります。アジャイルに、トライアンドエラーしながら新しいサービスを作っていくようになるでしょう。チームも解散したりくっついたりといったことが増えます。 つまり、組織がフラット化するだけではなくて、組織全体が流動化、プロジェクト型になるわけです。企業規模によってどのような外部プレーヤーと組むかは変わってきますが、社外の組織や人材と組む機会は確実に増えるでしょう。
グロービス経営大学院