”モンスト”IT会社と写真判定”老舗”が組んで競輪界にムーブメント…スポーツケイリン「PIST6」誕生の理由と期待される価値
「モンスト」で一世を風靡したミクシィ参入の理由
スマホアプリゲームのモンストこと「モンスターストライク」を大ヒットさせたミクシィは公営競技のイメージから程遠いが、今回PIST6に参入した。ミクシィ社員でPIST6マーケティング&コミュニケーション部PR担当の佐久間義高氏は、その理由をこう説明する。 「ケイリンは実際に見ると競技性の高い本物のスポーツです。そこでミクシィが積み上げたモンストの成功体験を生かし、公営競技もみんなでワイワイ楽しめる動画プラットフォームとして生まれたのが車券のインターネット投票アプリTIPSTAR。新たなスポーツエンタメ文化を創り出せると考えました」 近年スポーツ事業に熱心なミクシィが参入した背景には、主にヨーロッパで盛んなスポーツベッティング(スポーツの試合を対象とした賭け)を日本で実現したいという狙いもある。 スポーツベッティングは2018年にネバタ州に限られていたアメリカでも全面解禁。州によって合法化され、いまや総額8兆円規模とも言われる大きな産業に急成長を遂げている。日本でもスポーツベッティングはスポーツ振興の大きな財源になり得ると議論はされているが、やはりギャンブル依存症問題や選手を巻き込む八百長問題への懸念、法改正などクリアすべきハードルが多く、実現には時間がかかるとも見られている。 さらに地域貢献にも目を向けている。TIPSTAR DOME CHIBAを中心に市民が集う自転車コミュニティを構築するため、「今後は高校生・大学生の自転車競技大会の開催や、隣接する千葉公園にキッズも利用できるパンプトラック(BMXやスケートボードの練習ができるコース)の整備などを予定しています」と鈴木社長。これらの計画は環境への配慮と市民の健康増進の観点から自転車を活用した街づくりを推進する千葉市の「ちばチャリスタイル」計画ともリンクする。 かつて不採算事業だった競輪がスポーツとデジタル技術の力によって生まれ変わり、市民に受け入れられる。それをPIST6が実現できれば公営競技に新たな価値が生まれ、地域活性化につながる一つのモデルケースになる可能性も秘めている。 (文責・高樹ミナ/スポーツライター)