特措法改正「結論ありき」ではない議論を 分科会が5つの論点
政府は23日、新型コロナウイルス感染症対策分科会を開き、新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)の改正に向けた議論をスタートした。会合では「結論ありきではない議論を」「権利制限は抑制的に」などの意見がメンバーから出された。 【図表】新型コロナ特措法の「緊急事態宣言」とは? 市民生活にどんな影響がある?
「権利制限は抑制的に」「実効性の担保を」
会合終了後に会見した分科会の尾身茂会長(地域医療機能推進機構理事長)は、この日の議論について「分科会メンバーがどういう意見を持っているかを述べるのが主な役割。キックオフの会議で結論を出したわけではない」と説明。メンバーの意見を5つの論点にまとめ、紹介した。概要は以下の通り。 (1)「個人の権利・自由」と「公共の利益・福祉」のバランスについて、社会全体のコンセンサスを得るべくしっかり議論してほしい。 (2)新型コロナウイルスの実態(※)に合った制度見直しをしてほしい。(※特措法では大きな施設で感染が起きることを想定していたが、コロナでは比較的小さい飲食店でもクラスターが起きる、など) (3)営業時間短縮の要請や休業要請を行うにあたって、実効性を担保するとともに適切な経済支援を行う際の理論的根拠や基本的な考え方を明確にしてほしい。 (4)いまの特措法の成立には、国会の総意として、人々の権利制限については抑制的に行うという基本原則があった。それは維持すべきである。 (5)特措法改正の議論では結論ありきではなく、対策に関与した関係者が直面したさまざま問題を踏まえるべきである。
次の通常国会への改正案提出も念頭に検討
尾身会長に先立ち会見した西村康稔(やすとし)経済再生担当相は「改正の必要性については概ね理解が得られた」と述べ、年明けに開会する通常国会に改正案を提出することも念頭に「政府として迅速に検討を進めたい」とした。