【Q&A】全都道府県が対象に「緊急事態宣言」って何?
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府はこれまで東京・大阪・福岡など7都府県としていた「緊急事態宣言」の対象地域を全都道府県に広げました。そもそも「緊急事態宣言」はどのような場合に出され、宣言が出されると市民生活はどう変わるのでしょうか? また、先んじて対象となっていた7都府県ではどのような取り組みをしているのでしょうか? 【Q&A】新型コロナ「軽症・中等症・重症」どんな症状?
Q:政府による「緊急事態宣言」とは?
改正新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)に基づく宣言で、(1)国民の生命・健康に著しく重大な被害を与える恐れがある(2)全国的かつ急速なまん延により国民生活・国民経済に甚大な影響を及ぼす、あるいはその恐れがある――の2要素が認められる必要があります。
Q:政府はすでに「緊急事態宣言」を出しているよね?
はい。政府は4月7日に「緊急事態宣言」を発令しています。発令の際には、(1)期間(2)区域(3)緊急事態の概要――を示す必要がありますが、7日の時点では東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県だけが対象区域とされました。期間は5月6日までです。
Q:対象になった区域での生活はどうなるの?
対象となった都道府県の知事は、特措法に基づき、住民に対して外出自粛を要請したり、学校、映画館、劇場、音楽ホールや人が集まる施設の使用を制限したり、仮設病院を設置するために土地を収用したりできようになります。実際、東京をはじめ、先に指定された7都府県では不要不急の外出の自粛要請や、生活必需品(サービス)を提供する施設を除く、娯楽施設や運動施設などへの休業自粛要請が始まっています。 一方、国民の自由(私権)を制限することにつながるため、宣言を出すことについては慎重であるべきとの声もあります。
Q:7都府県以外の自治体ではどんな動きがあったの?
7日の宣言後も感染症者の数は全国的に増えています。愛知県や京都府では、知事が政府に対して指定区域への指定追加を求めるとともに、県・府独自の「宣言」を出し、住民に外出の自粛などを要請しています。独自の宣言を出して警戒を呼び掛ける動きは岐阜県や三重県、石川県などにも広がりました。
Q:都道府県が独自に出す宣言と、政府が出す緊急事態宣言の違いは?
法的根拠を持つか持たないかが最大の違いです。都道府県で独自宣言を初めて発表したのは2月28日の北海道ですが、これには法的根拠がなく、あくまで知事からの「お願い」の範囲にとどまります。 これに対し、政府が発出する「緊急事態宣言」は特措法に裏付けされたものなので、都道府県が独自に出すものとは全く異なります。ただ、特措法に基づいて各知事が施設やイベント主催者に休業自粛を要請・指示しても強制力はなく、営業を継続しても罰則はありません。