「地域の役に立ちたい」二重被災の町で唯一のスーパー 店を開け続ける家族の思い
「うわ、もうすぐそこまで来てる」 スーパーは1階部分が濁流に飲み込まれてしまいました。 翌日。町野町には、豪雨の爪痕がいたるところに残されていました。
もとやスーパー3代目・本谷 一知 さん: 「ここまで来てん。壁の色変わっとるところまで来た。(商品は) とりあえずこういう上とかに乗っけたけどや、ここまで来たらもう何を上げてもだめやろ」 本谷 理知子 さん: 「刺し身の担当者が来て『もう駄目、もう危険だし上がろう』と、2階に上がった」
床一面、泥に覆われた店内。商品も、棚も、すべてが流されました。移動販売に使っていた軽トラックも… 地震よりも深刻な豪雨の被害。 本谷 一知 さん: 「この場所での商売はもう無理やわ。どう考えても。もうこれで無理やなって。町野から出るっていう話もちらほら聞くし」 でも…この人だけは…
「おお~!あはは」 もとやスーパー2代目の一郎さんです。 もとやスーパー2代目・本谷 一郎 さん: 「いや、ひどいな~。まさか水の被害がこんだけひどいと思わなんだ」 全身、泥だらけの一郎さん。濁流が押し寄せた際、商品を救おうと売り場に残ったものの水かさが急激に増え、結局、逃げ遅れてしまったといいます。 本谷 一郎 さん: 「いったんあの、その上に上がって、水引くのを待ってて。(どこの上にあがったんですか?) そこの上。(これ?)うん、そう。そしたらだんだん水が引いてきたもんで、ここ自体に寝てびとびとになってる。しょうがないから布団はない、それから洋服は全部濡れてしまって、わやくそになってる」 ただ、これほどひどい目に遭っても、一郎さんは…
本谷 一郎 さん: 「みんな大抵する前に弱気になっているけど、それじゃだめ。人間あくまでもチャレンジだよ。ここには昔からのお年寄りから、ずっと世話になった人がいっぱいいるから、その人たちに俺が助けられたと思ってるだから、これから恩返しだよ。その恩返しを途中で諦めるってのはこんな変わった話ないよ。だからいま息子にしろ嫁さんにしろ一生懸命頑張ってる。ただ、まだちょっと何か不安はあるみたいだけど。だけど、やってそれが成功したときには一歩前進できるよ。必ず道は開ける」 豪雨から数日後。お店に、ある変化が…