日本でジョブズは生まれない…「イノベーションを起こせなくなった日本人」とイノベーションを起こす人の決定的な違い
南 ボタン必要ならあればいいじゃないって思ってる人は、大きいまんまじゃないですか。小さくしようと思うから、最初に「好み」があって、何が何でもそうしろって言うジョブズがいたから、できたことだと思う。 池田 ジョブズって、すごいワンマンで、自分の意見を曲げなかったみたいだね。誰かに聞いた話だけど、ジョブズは新しいことをやろうとした時、大人数の会議はやんないで、少人数の会議をしたらしい。 教授会なんかもそうだけど、出席者が多いと9割ぐらいの人は発言らしい発言はしねえんだよ。自分の意見を言わなきゃ会議に出てる意味がないんだけど、人数が多くて発言しない人がほとんどだと、発言しなくても目立たないからね。だけど人数が少ない会議では、発言しないと目立つから、しょうがなく何か言うわけだ。 ある時、日本人の技術者が10分ぐらいプレゼンすることになって、いろいろとごちゃごちゃ言ったらしいんだよ。ジョブズは気に食わなくて、その話はもうやめろ、黙れとか言ったけど、その人は俺はあと3分しゃべる権利があるとか言って、しゃべり続けてたんだよね。 そうしたら残り1分ぐらいになった時に、ジョブズの顔色が変わって、「そのアイディア、素晴らしい」「どのぐらい金かかる?」って聞いて、「予算付けるから、おまえに任せるから、やれ」って言われたって。で、結構いい商品ができたっていうんだよね。
池田 ジョブズって、ゴリゴリのところはあるけど、やっぱりこっちの方がいいかもしれないって、一瞬で頭を切り替えることもできる。そういうフレキシビリティは、すごいなって思うよ。そういうのって、日本の経営者とかにあまりないよね。一度決めたことは、よほどのことがない限り変えない。 ● 「一度決めたことを変えられない」 日本人のメンタリティー 池田 だけど、途中で想定していなかったことが起こることもあるじゃん。その時は、いくらだって変えようがあるはずなのに、何もしないんだよ。一度決めたことを変えるのは恥っていうのが、大方の日本人のメンタリティーだから。政府も地方自治体も同じ。くだらないことでも、決まったことだからって、いつまでたっても同じことをやってる。大阪・関西万博もそうだよな。どうしようもないよ。 南 討論とかしてて、途中で意見を変える人って、いいなあ。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)っていう討論番組があったじゃないですか。僕が知っている限りで番組途中で自分の意見変えたのは野村秋介だけだった。どんなこと考えて何やった人か知らないけど、番組中で意見変えたっていうことだけで、いいな、この人って思いました。意見が変わんない人って、ただ、自分の主張をしに来てるだけだから。