「熱があっても出社する」ことを美徳とする日本人…現代にも蔓延る「昭和すぎる価値観」に囚われていませんか?
近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。 『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第69回 『「日本人は臆病です」…米国の起業家教育No.1大学で教鞭をとる著者が語る「成功できる人」と「成功できない人」との決定的な“差”とは』より続く
アメリカで教鞭を取っていた時期
2023年の秋、大学のティーチングパートナーから、相談がありました。 「心が打ちのめされて、とても講義ができる状態ではない。ちょっとの間、代講をお願いしたい」 もちろん、すぐに引き受けました。その理由がすぐにわかったからです。 まさにハマスがイスラエルに攻撃をした時期でした。アメリカでもその報道が過熱しています。それが大きく影響していることは明らかです。周囲の反応も、私と同様のものでした。
実は日本の方がドライ?有給休暇の理由
アラブ、イスラエルにルーツを持つ学生、大学の運営関係者、先生は珍しくありません。彼ら、彼女らは、講義の席で「この攻撃をどう思うか」といった質問を投げかけてきます。そして、本来の講義そっちのけで、議論が始まります。どちらが正しいかはわかりません。それぞれの立場もあります。しかし、「そこで誰かが傷ついている」ことは必ず、議論に上ってきます。 これが日本の大学、教育機関ならどうでしょう。まず学生たちの議論は、やんわりと、あるいはばっさりと打ち切られてしまうのかもしれない。 「それぞれに正義があるので、軽々に議論できない」 「政治的な話題は学問にふさわしくない、本日の講義とは関連がない」 教壇に立つ先生自身も正解を持っていないだけに、その場を収められる自信がないということもあるでしょう。また先生が、あるいは学生がその事件で傷ついて、休むとなったら? あからさまに言葉に出さないまでも「そんなことで休むなんて」という雰囲気になるかもしれません。学生にしても「そんな“簡単に”休むな」と言われるかもしれません。 一例ですが、日本にある慶弔休暇という制度は肉親やそれに類する人が亡くなった場合にしか認められていません。とても仲がよく、人生の大半をともにしている大親友が亡くなっても、慶弔休暇はありません。有給休暇を使うにも、微妙な空気になるかもしれません。 「肉親でもないのに?」と。 一概にアメリカが良いという気はありません。よく欧米型社会はドライでビジネスライク、日本型社会のほうがウェットで人間らしさがあると思われがちですが、必ずしもそうではないということの一例です。
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