「熱があっても出社する」ことを美徳とする日本人…現代にも蔓延る「昭和すぎる価値観」に囚われていませんか?
高度経済成長期の意識は「色濃く」残っている
これは会社の仕組みや働き方に起因しているだけではありません。働く人の意識も大きく影響しています。 知人の日本での体験談ですが、数年前、あるイベントで登壇する予定だった人が、インフルエンザを発症したというのです。予定されたスピーチを知人が代行したそうですが、当日、客席にその登壇予定だった人がいるというのです。驚いた知人はスピーチ後に彼に駆け寄り「何をしているのか」と聞いたそうです。 「だって、熱も引いたし」 軽く答えが返ってきて、言葉を失ったと言います。インフルエンザには、タミフルやリレンザといった症状をあっという間に抑え込む薬が存在します。このインフルで登壇を諦めた人は、症状が治まったので、会場に足を運んだわけです。 きっと、本来なら登壇したかったのでしょう。もしかしたら、「たかが熱が出たくらいで、休んでいる」ことに後ろめたさがあったのかもしれません。気をつけなければならないのは、症状が治まっても「感染能(病を感染させる能力)」は維持されていること。症状がなくても人にうつしてしまう状態です。 最近でこそあまり聞きませんが、日本では、熱があっても出社することを、ある意味当然と見る風潮がありました。風邪で休むと「それくらいで……」と上司に嫌味を言われる、そんな環境も影響していそうですが、「それくらいで休む人」と思われたくないという個人の気持ちも大きく影響しているのでしょう。 バブル期には「24時間、戦えますか」というキャッチフレーズの強壮剤がヒットしました。それより前、高度経済成長期には、モーレツ社員という言葉がありました。サービス残業は当たり前、土日も会社のためにがんばる、そんな風潮が当たり前にあったのです。 これを「昔の話」と片づけられるでしょうか。 『「無能な起業家が多すぎる」…「ドラッカー最後の弟子」と称される著者が語る“優秀”な人材と“無能”な人材の決定的な「差」とは!?』へ続く
山川 恭弘
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