写真家ナン・ゴールディンの映画『美と殺戮のすべて』が、3月29日より全国公開。オピオイド危機を描いたヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞作
写真家ナン・ゴールディンの話題作、ついに日本公開決定
1970年代から80年代のドラッグカルチャー、ゲイサブカルチャー、ポストパンク/ニューウェーブシーンなど、当時過激ともいわれた題材を撮影し、その才能を高く評価された写真家ナン・ゴールディン。イギリスの現代美術雑誌『ArtReview』が毎年発表する、アート界でもっとも影響力のある100組のランキング「Power 100」でも、2023年度1位に選出されたばかりだ。 そのゴールディンの姿を追った映画『美と殺戮のすべて(ALL THE BEAUTY AND THE BLOODSHED)』(監督・製作:ローラ・ポイトラス)が3月29日から日本公開される。新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、グランドシネマサンシャイン池袋を皮切りに、全国公開予定。本作品は、ヴェネツィア国際映画祭でも最高賞(金獅子賞)を受賞している。 題材は、オピオイド危機。1995年に米国で製薬会社パーデュー・ファーマが販売した、オピオイド系処方鎮痛剤「オキシコンチン」によって、2000年頃から依存症や過剰摂取による中毒死が急増した大きな社会問題のことだ。この“合法的な麻薬”によって、全米で過去20年間に50万人以上が死亡したのだ。 2018年3月10日、ゴールディンは多くの仲間たちと共にニューヨークのメトロポリタン美術館を訪れる。そして製薬会社を営む大富豪が多額の寄付をした展示場サックラー・ウィングで、「サックラー家は人殺しの一族だ!」と口々に声を上げながら「オキシコンチン」という鎮痛剤のラベルが貼られた薬品の容器を一斉に放り始める......。 ゴールディンはなぜ、巨大な資本を相手に声を上げ戦うことを決意したのか。大切な人たちとの出会いと別れ、アーティストである前に一人の人間としてゴールディンが歩んできた道のりがいま明かされる。
Art Beat News