磯村勇斗×黒木 華の共通点「友達の輪は広げない。人類皆友達ではありません!」
── お二人の夫婦関係が穏やかであるのに対して、馬琴と妻のお百(寺島しのぶさん)の関係は正反対。お百は収入もままならない馬琴に対する不満が尽きず、手厳しい言葉をぶつけ続けますが、馬琴は決して声を荒げることなく接している。仲がいいのか悪いのか……。 磯村 宗伯としては、子供の頃から父と母の関係性を見てきて、本当に両極端な両親のもとに生まれてきたんだなというのは常に感じていました。宗伯は父の一番の理解者で、どちらかというと父の側についているので、父に向ける母の暴言があまりに酷い時には、母に怒りをぶつける場面もありましたし。 けれども、表向きは一方が文句を言い続けるいびつな関係であっても、夫婦として長く続いてきたということは、やはり二人の間にはちゃんと愛があっただろうし、その温かさを僕は現場でお二人を見ていて感じました。 黒木 私は、みんな似てる親子だなと思いながら見ていましたけどね。 磯村 んふふ(笑)。 黒木 旦那さんは旦那さんで、ちょっと頑固な部分も見えますし。それは、尊敬するお父さんを見て育ってきたからというだけでなく、ご両親の気質をそれぞれ引き継いでいる部分もあると思うんです。 それに、私は馬琴とお百のあの関係はすごくいいなと思います。関係性が出来上がっているからこそ、お百も文句を言いながらも家庭を支えているし、きっと馬琴もその思いに気づいている。けれども、たぶん馬琴はどうしようもなくアーティストなんだろうなと思います。 そんな馬琴を、愚痴を言いつつも支えるお百のいじらしさを、私はお路として見ていてすごく可愛いなと感じました。とても愛情のある家族だと思います。 磯村 (頷く)。
── 支え合うという点では、宗伯と、画家で文人の武士・渡辺崋山(大貫勇輔さん)の友情にも深い結びつきを感じます。友人関係ということで、お二人は、宗伯と崋山のようにプライベートで支え合えるお友達は多いほうでしょうか。 磯村 僕はそれほど友達の輪を広げるタイプではなくて、例えば現場で共演した俳優さんとも、自分とフィーリングが合ってぐっとハマったら、とことん長く仲良くしていく感じです。なので、浅く広くというよりは“深く狭く”という人間関係の作り方をしてきている気がしますね。 もちろん同じ俳優同士であれば、仕事面での刺激ももらいますし、たまにご飯に行って、相談ごとや、お互い不安に思うことなども話して、アドバイスをし合うこともあります。 黒木 私も、「人類皆友達」というタイプではないです。浅く広くというよりは、割と同じ幾人かの友達と会ったりする感じが多いですし、会わなくても友達、という感覚もあります。 例えば10年程会えていない学生時代の友達にも、 (地元の)大阪に帰る時に連絡したりしなかったり。それでも会えば「元気?」みたいないつもの関係に戻れます。どっちの友達も大切ですね。