我慢や頑張りすぎをやめ、弱みを見せたほうが人は育つ
リーダーの弱みが部下を成長させる
――小室さんご自身は、今の任せ方に至るまでに、壁にぶつかった経験はありますか? 【小室】大ありです。最初の壁は、出産直後に当社を起業したときのこと。極度の睡眠不足で、部下にキツい言葉を発するダメ上司になっていました。その失敗を経て、今お話しした「コンディションの情報共有」という方法にたどり着いた次第です。 ――そういうことでしたか。試練が活かされましたね。 【小室】幸か不幸か、試練には事欠きません。その後も親族の介護をした時期あり、長男が大病を患った時期あり、不妊治療をした時期あり。さらには、夫のシンガポール赴任が決定。家族全員で助け合う必要があったので、私も2年間シンガポールへ。実は半年前に戻ってきたばかりです。 ――海外にいらしたのですか。知りませんでした! 【小室】あえてオープンにせず(笑)、働く場所や時間が違っても経営はできるということを実践していました。数カ月に一度の帰国以外は、すべてオンラインで対応。加えて、これまでの仕事の多くを部下に任せました。その結果、今は政府の仕事を含め、数々のコンサルティングで、部下に指名が来るようになりました。 リーダーのピンチは、部下の自立の最大のきっかけです。 「私がなんとかしなければ」という、良い意味での危機感が成長を促すのです。ですから、リーダーも積極的にSOSを出すべきです。業務があふれてしまったときのSOSのほか、不得意分野のフォローを頼むのもお勧めです。 能力の高い人ほど、弱みを見せるのには抵抗感があるでしょう。 しかしどんなに優秀でも、一人の能力には必ず限界があります。多数のメンバーに多様な能力を提供してもらうほうが、はるかに大きな力になるのです。 それを引き出し、そのつど感謝する。そうしたコミュニケーションの中で、自分も部下も、チームも組織も、大きく育っていくのです。 【株式会社ワーク・ライフバランス】 https://work-life-b.co.jp/ 【朝メールドットコム】 https://work-life-b.co.jp/service/asacom.html
小室淑恵([株]ワーク・ライフバランス代表取締役社長)