駒大・篠原、山川、創価大・吉田響…全日本大学駅伝で大活躍したランナーたちの伊勢路の快走劇と箱根への思い
■ 山川が最終8区で日本人歴代2位の快走 伊勢神宮へと続く道。2分半以上も先にスタートした青学大と國學院大に急接近したのが駒大・山川拓馬(3年)だ。前年も8区で区間賞を獲得しているが、今年はさらに強かった。 「花尾さんの記録は絶対抜きたいと思っていましたし、条件が良ければ56分台を狙いたいね、という話をしていたので、8区が決まった時点で『やるしかない!』と思っていました」 山川は2022年大会で区間賞を獲得した先輩・花尾恭輔(現・三菱重工)の記録(57分30秒)だけでなく、早大・渡辺康幸(現・住友電工監督)が1995年に打ち立てた56分59秒の日本人最高記録も視野に入れていた。 前が見えない展開で、5連覇は絶望的だった。それでも山川はあきらめていなかった。 「とにかく突っ込んで、あとは一定ペースで行き、ラストもう1回上げるのが自分のプランでした」 5km付近で中継車や白バイが見えるようになり、「追いつくしかない」という気持ちが高まった。中継所では2分37秒差あった青学大を18.7kmで逆転。國學院大の背中にも近づいていく。 そして國學院大の初優勝が決まった28秒後にゴールテープへ駆け込んだ。山川は8区19.7kmを日本人歴代2位の57分09秒で走破した。しかし、「悪くはなかったんですけど、勝てていないですし、日本人最高記録にも届いていません。夏にちゃんと距離を踏めていなかった部分が出たのかなと思います」と不満を口にした。 昨年は全日本大学駅伝の後に左恥骨を疲労骨折。箱根駅伝には間に合わせたが、4区で区間6位と本領を発揮できなかった。 3回目となる箱根駅伝は、「チーム状況に応じて、任された区間をやるだけですけど、正直、山をやりたいです」と1年時に任された5区を希望。「68分台を目指したい」と区間記録の更新を狙っている。 伊勢路で輝いたエースたち。箱根路でもドラマを作ってくれるだろう。
酒井 政人