MotoGP日本人ライダーの戦い【第10戦イギリスGP】ポールポジションの小椋藍、決勝レースで14位の理由は
約3週間のサマーブレイクが明け、MotoGPはシーズン後半戦に入った。後半戦の初戦は、シルバーストン・サーキットを舞台とする第10戦イギリスGPである。 【画像】MotoGP第10戦イギリスGPをギャラリーで見る(9枚) シルバーストン・サーキットは、第二次世界大戦中はイギリス空軍爆撃機部隊の訓練基地だった。このため、サーキット全体の土地が非常に開けている。多少の起伏はあるが、コースをまたがる橋などを除けばほとんどなだらかだ。 サーキットは全長5.9kmで、現在MotoGPが開催されているサーキットの中で、最も距離が長い。高速コーナーが多く流れるようなレイアウトを持つ、高速サーキットである。 今大会は1949年に始まったロードレース世界選手権の75周年を記念し、MotoGPクラスの全チームが決勝レースにビンテージカラーのマシンで挑んだほか、過去に活躍したWGPマシンなどの展示も行われた。 それでは、イギリスGPの日本人ライダーの活躍を追っていこう。 文/Webikeプラス 伊藤英里_Eri Ito
Moto2小椋藍の今季初ポールと決勝レースの後退
Moto2クラスに参戦する小椋藍(MTヘルメット – MSI)は、予選Q2でポールポジションを獲得した。2分2秒940を記録してオールタイムラップ・レコードを更新。今季初、2022年マレーシアGP以来となるポールポジションだった。 だが、小椋は「予選のタイムは自分でも予想外。全体的にタイムが上がりましたね」と言う。また、このタイムは前のライダーを追って出したものということもあり、久しぶりのポールポジションとはいえ、小椋としては大きな喜び、とはいかなかったようだ。「一人で出したタイムだったらうれしかったかもしれないけど」と、淡々と語っていた。 小椋としては、決勝レースは序盤からアロン・カネト(ファンティック・レーシング)が攻めてくる、優勝争いに絡んでいければ、と考えていた。だが、決勝レースも、今度はネガティブな方向に想定外の展開となった。カネトは確かに序盤から攻めていたが、小椋のペースが明らかに上がらない。巧みなタイヤマネジメントでレース後半に強い小椋だが、この日の走りは何かに苦しんで後退を余儀なくされているようだった。その後も少しずつポジションを落として、14位でレースを終えた。 「2周もしたら、リヤタイヤのグリップが全くなくなって、何もできませんでした」と、レース後に小椋は説明した。 小椋が選んだのはフロント、リヤタイヤともにソフト。今回の決勝レースでは、全ライダーが同じタイヤ選択である。Moto2クラスは今季からタイヤサプライヤーがピレリとなったため、もちろん全員がピレリを装着している。そして、チームメイトのセルジオ・ガルシア(MTヘルメット – MSI)は、16番手からスタートして4位でゴールした。 「いろいろな可能性があると思いますけど、原因はまだわかっていません。これまでで一番今回に近いタイヤの終わり方としては、カタールじゃないでしょうか。カタールは全員がそうでしたけど、今回は僕だけでした」 おそらく、小椋のリヤタイヤに普通ではない何かが発生していたのだろう。この結果、チャンピオンシップでのランキングは変わらないものの、ランキングトップのガルシアとランキング2番手の小椋とのポイント差が、7から18に広がった。